福島県教育センター所報ふくしま No.22(S50/1975.8) -021/026page
小 学 校 教 育 工 学 講 座 を 受 講 し て
大 沼 郡 昭 和 村 立 下 中 津 川 小 学 校 玉 川 祥 子
教育機器に弱い私は,講座内容が多すぎはしないか,また,研修期間が長すぎはしないかといった不安をもって受講しましたが,結果は全く逆で,むしろ楽しい5日間でした。これひとえに講座担当なされた諸先生の熱意あふれるご指導や,演習にあたって機器の準備はもちろん製作材料まで十分利用できるような細かいご配慮があったからこそと思い,深く感謝いたします。
個人差に応じた,一人一人の子どもの能力に応じた学習については,強く叫ぱれ,特に十数年前から,視・聴覚を生かしたいろいろな方法が取り入れられ工夫されてきたようです。しかし現状では,県内各地から参加された先生方の報告にも見られますように機器の整備はもとより,学校の体制・組織においてもかなりの開きがあり活用面についても差が見られるようでした。
島田先生の「教育方法の改善と教育工学」についての講義で,改めて人間の能カにあった教育のあり方の究明と効率化をはかるための方法について再確認させられ,教育工学についての研究がいかに大事であるか知らされました。さらにソフトウェアの研究,施設設備の最大限の利川については,学校の体制を工夫した上で考慮しなければならない点であることを痛感させられました。
授業を効率的に展開する際,目黒先生の「授業のシステム設計とフローチャートの作成」の講義は,意義あるものでした。特に初めてフローチャートを作成した私は,そのよさをしみじみと感じさせられました。指導過程が図式化され,全体を明確にはあくできる点はすばらしいものです。是非取り入れていきたいものだと考えております。
阿部先生より,教育機器の中で,特にVTR,TP,反応分析装置等についての特性や活用についての講義で講座の内容も充実してまいりました。一人ずつ手にとってのご指導。いろいろな機械に触れ,TVで録画・再生できたときの喜びは,とてもすばらしいものでした。
教育テレビ番組も時間や内容のズレから直接授業に利用できない面もある現在,機械があれぱ是非活用したいものです。
ソフトウェア研究では3コースの中から一つしか演習できずに終わったことが残念でなりませんでした。作成した資料は,さっそく授業に役立たせるつもりです。
今後,この講座で学んだことを生かし,限られた時間内で学習の効率化をはかるために機器をどのように活用するか工夫していきたいと考えております。
小 学 校 図 画 エ 作 講 座 に 参 加 し て
岩 瀬 郡 長 沼 町 立 長 沼 東 小 学 校 金 沢 正 也
学校長より,教育センター図工講座に一人出席を知らされ,図工主任の女子教員が都合のため出席できず,誰も引き受けない。こんなことでは,いけないと勇をふるって,承知したものの,低学年ばかり担任している私にとって,責任的にも,心はずむ気軽さはなかった。
宿泊というめんどうさ,図工技術のにが手さなどが当日まで心に重くかぶさっていた。
併し,今はどうだろう。一つ一つの重さが,うす紙でもはがすように,未知の世界がひらけたような,喜びと,自信がわいてきたような気がしている。
講師先生や所員先生の手にとるような,助言と指導に,教えられる身に立って,子供達の心や教師としての目のむけ方がはっきりしてくるのである。
作品と取りくむことによって,子供がどこで困っているのか,どこにむずかしさがあるのか,はじめに押えなければならないところはどこかなど,ポイントが明確につかまえられることがわかっただけでも一歩前進だと思った。
図工教育は,子供に指導する時前に,へたでも自分で作品を,製作してみることだと思う。へたならへたなりに,図工のにがてな子供のつまずきを知ることができるのであり,準備してやらなければならないものと,準備させるべきものがはっきりしてくるのだと考えた。
経験するということは,指導する自信を深める大きな要素であると思う。
宿泊して,他地区の先生方と,話し合い,協力して仕事をすることも時には必要な体験で,教師としての,視野を広げるものであると感じる。
ただ,自己の学校において,センターのように,準備された用具,教材の保管などまだ問題は残っているが,これから,その一つ一つに力をそそぐことこそ,己にとって大切な課題の一つでもある。
大谷先生をはじめ講師の先生方が,作品のうまくできない我々に対しても,決してカを落とすような事を言うことがなく,むしろ勇気づけ,指導の手をさしのべてくださったことは,これから学校へ帰って,子供を指導する者にとって,よい参考になり,また後日,センターに参加する者にとっても,不安感をとりのぞくよう助言してあげられる自信を深めて,この講座を終った。