福島県教育センター所報ふくしま No.23(S50/1975.10) -014/026page
反応分析装置(アナライザー)による授業の診断
−S−P表の作り方とその活用の仕方−
第 1 研 修 部 阿 部 昭 生
1.はじめに所報第20号では,「反応分析装置による学習指導の個別化」をテーマに,主として授業中における反応分析装置の活用の仕方について述べた。しかし,授業を科学的に診断して,より確かな改善をはかるには,反応分析装置で得られる記録表を十分に生かす必要がある。
現在学校で用いられている反応分析装置には個別反応記録器のついているものが多いので,個別記録表も少しずつ活用されてきている.しかし,まだ,従来の成績一覧表のように,個人得点や問題別正答率,学級平均,誤答分析などの利用が大部分である。反応分析装置を用いると個別の成績記録は簡単であるが,授業中にひんぱんに記録することは好ましくないので,数少ない記録表を十分に吟味し,最大限に活用する心がけが大切である。
個別記録表は,S−P表に作りかえると,学級の学習傾向はもちろん,個人や問題についての異質性などいろいろな情報が得られるので,S−P表を活用するように勧めたい。
2.S−P表とはS−P表は,表1のように横軸にS(学習者Student),たて軸にP(問題Problem)をとり,正答を1,誤答を0で表したものである。
S−P表は,反応分析装置の個別記緑表より容易に作ることができて,しかも,いろいろな診断に役立つので,研究も活用も盛んになってきている。後述の作り方でわかるように,反応分析装置によらない成績一覧表からでも作れるので,ぜひー度試みてほしい。
3.S−P表の作り方反応分析装置の個別反応記録器には,学習者の回答番号を正答を黒,誤答を赤というように色で区別するものや,正答を1,誤答を0で印字して区別するものがおる。後者の方はそれからすぐにS−P表に作りかえられるが,前者の方は,表3のように1と0に書きかえなければならない。(これをS−P原表という)
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次に,S−P原表へ問題別の正答率と学習者別の得点を記入し,問題については上から正答率の高い順に,学習者については左から得点の高い順に並べかえる。
S−P表の作成作業は,細かい作業であるために途中での誤りも多い。そこで,S−P原表を問題別に切って正答率の高い順に自紙に並べてはり,次に,学習者別に切って得点順に再ぴ白紙に並べてはりつけるとよい。こ