福島県教育センター所報ふくしま No.23(S50/1975.10) -020/026page

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登校拒否児童・生徒の実態とその対策について


研 究 ・ 相 談 部 大 内 昭 市



1.はじめに

昭和49年3月長欠児童・生徒の治療的指導に関する研究(福島県教育センター研究紀要第15号)で,登校拒否児童・生徒について概要が示されている。従前このような傾向は高等学校に多くみられたが,最近では,小学校・中学校でも登校拒否が増加する傾向にあり,さらに都市から郡部におよぶ傾向が一段と強まっている。

したがって,ここでは昭和46年以降当教育センターに来所し,治療した児童・生徒から得られた実態と対策を述べてみることにする。

2.登校拒否児童・生徒の実態と特徴

(1) 管内別登校拒否児童・生徒数

・小・中学校

県北 県中 県南 会津 南会 相双 いわき
小学校 13
中学校 12
15 25

・高等学校

県北 県南 会津 相双 いわき
高等学校 10 19

小・中・高を通して,県北・県中・県南地区が比較的多い。これは,当教育センターに来所するのに,交通の便に恵まれていることが,理由の一つとしてあげられるであろう。

この表では不明であるが,各地区の医療機関で治療を受けている者が数多くあることを付記しておく。

(2) 年度別登校拒否児童・生徒数

昭和46年度 昭和47年度 昭和48年度 昭和49年度 昭和50年7月末現在
小学校 13
中学校 12
高等学校 19
19 10 44

福島県教育センターに教育相談係が設置されたのは,昭和46年9月からである。この表のとおり,登校拒否児は増加の傾向にあり,全国的にも増加している。

この際予防の方法について研究を深める必要が痛感される。

(3) 学年別登校拒否児童・生徒数

学年別 1 年 2 年 3 年
性別
学校別
小学校
中学校
高等学校 11
学年別 4 年 5 年 6 年 合 計
性別
学校別
小学校 13
中学校 13
高等学校 12 19

登校拒否児の男女別の割合をみると,小学校を除いて,男子が女子より多いことである。全国的には小・中・高とも男子が多く,およそ2対1の割合で出現している。

・小学校

各学年とも平均しており,有意の差はみられない。

・中学校

2年生の多いのが目立っている。学業,進路など精神的な不安や悩みが根底にあるのではないか。

・高等学校

2年生が極めて多い傾向にあり,学業不振,進路選択などの問題が多く抽出されている。

(4) 父母の有無

父母なし 父なし 母なし 両親あり
小学校 10
中学校 11
高等学校 18
39

父母なし,母なしの家庭が零であり,両親のある家庭は,88.6%である。各家庭の内情は不明としても,常識的に考えて,比較的恵まれた家庭に育っているということができよう。


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