福島県教育センター所報ふくしま No.23(S50/1975.10) -021/026page
(5) 祖父母の有無
祖父母なし 祖父あり 祖母あり 祖父母あり 小学校 4 0 7 2 中学校 4 0 3 5 高等学校 10 2 6 1 計 18 2 16 8 都市型の核家族に多いと推定された登校拒否が,意外にも祖母のおる家庭に目立って多いことである。この割合は,54.5%であり,おぱあちゃん子の問題が強力な要因となっている。
祖母の孫に対する態度として,一般的に溺愛,過保護,干渉過剰になりがちで,しつけの担当者としては適役ではない。
また祖母の養育態度に影響を受けた子どもは,自立性に乏しく,依頼心が強く,独占欲が強く,他人との協調性に欠けるといわれている。
孫の教育については,祖母は相談的立場に立つことによって,望ましいしつけができるように考えられるが,祖母は,祖父のすぐれた点を強く意識しており,これをもって絶えず孫に接することになる。このため精神不安となり登校拒否に結ぴつくのではないかと思われる。
(6) 児童・生徒の出生順位
1番目 2番目 3番目 4番目以下 小学校 6 4 1 0 中学校 4 8 0 0 高等学校 8 10 0 1 計 18 24 1 1 出生順位からみると,2番目に出生した者に登校拒否が多い。しかし,現在の家族構成から考えて,このことは大して重要なことでないかも知れない。
出生した順位より,親の子に対する期待とか,兄弟の比較などが,劣等感あるいは精神的重圧を与える結果となる。これが自己防衛につながり,安全なからに入ってしまうことになっているのではなかろうか。
(7) 児童・生徒の同胞数
1人 2人 3人 4人 5人以上 小学校 1 7 5 0 0 中学校 0 6 6 0 0 高等学校 1 10 7 1 0 計 2 23 18 1 0 兄弟の数では,2人,3人の家庭に登校拒否児が多いが,このことは余り意味がない。しかし,ひとりっ子に登校拒否の少ないことは注目すべきことである。
ひとりっ子の性格や行動の特異性については,研究が積み重ねられてきているが,その中で,ひとりっ子の親は,干渉過剰,期待過剰,過保護の態度をとりやすいといわれている。
その結果,ひとりっ子は,望ましくない性格や問題行動に結ぴつくという定説がある。しかし,この一般論に反する事実を数字が示していることは興味深いことであり,今後の研究課題となろう。
また,4人以上の兄弟からは,登校拒否がほとんど生れてないということは極めて興味がある。家族集団の中での多くの体験が,性格,行動などの望ましい資質を培うのに役立っているのでなかろうか。
(8) 登校拒否児童・生徒の主な動機
学校別
小学校
中学校
高等学校
性別
主な動機
男 女 計 男 女 計 男 女 計 病気治療後 3 3 6 0 1 1 2 1 3 偏食 2 0 2 1 0 1 0 0 0 学業不振 1 0 1 2 0 2 2 3 5 友人関係 0 3 3 2 2 4 3 0 3 進路の不適性 0 0 0 0 1 1 1 0 1 教師の叱責 0 0 0 1 0 1 1 0 1 からだの悩み 0 0 0 0 0 0 1 1 2 過度な勉強 0 0 0 0 0 0 1 1 2 精神の不安定 0 0 0 0 0 0 0 1 1 その他 0 1 1 2 0 2 1 0 1 計 6 7 13 8 4 12 12 7 19 この表は,登校拒否に結ぴつく動機を推定したもので,(直接の原因ではない。)今後の指導の参考にしてほしい。
・小学校
盲腸手術後など病気で学校を休んだことが動機となっているものが多く,現在小学校で無欠席賞(精勤賞)を授与している学校は少なくなったようだが,登校拒否児を作らない立場から考えると,意義があったのではないかと考えざるをえない。
健康管理は誠に大切であるが,耐性を強くすることからいって,甘やかすしつけにならないよう注意したいものである。
・中学校
友だちとのいざこざが問題のようである。真に話しあえる友だちがあれぱ,不平不満はある程度解消するであろう。よき友を知ることの重要さを再認識すべきである。