福島県教育センター所報ふくしま No.23(S50/1975.10) -022/026page
・高等学校
病後,学習についていけないということが問題で,健康の重要さを再認識することが必要なことであろう。
(9) 登校拒否児童・生徒の型
学校別
性別
型別
小学校 中学校 高等学校 男 女 計 男 女 計 男 女 計 1.非行型 0 0 0 0 1 1 1 2 3 2.無気力型 2 3 5 2 0 2 0 0 0 3.情緒不安定型 3 2 5 1 0 1 0 0 0 4.情緒障害型 0 2 2 5 1 6 7 5 12 5.精神障害型 1 0 1 0 2 2 1 0 1 6.進路の悩み型 0 0 0 0 0 0 3 0 3 計
6 7 13 8 4 12 12 7 19 登校拒否児の型は,種々あって定説はない。この表は,次の型に基づいて集計したものである。
・非行型
自ら積極的に外界へ求めて出る。性格は外向的であるが,行動について家族などから拒否されている。
・無気力型
自らは消極的で誘われれぱ外界へ出る。性格は無口で内向的である。
・情緒不安定型
家族となら外界へ出るが,家の中にとじこもっていることが多い。
・情緒障害型
家庭にのみ安住し,学校へは行かず外界とは接触しない。
・精神障害型
分裂病型,自閉症型のように精神に異常のある型である。
・進路の悩み型
高校生のみに発生する独特の型である。
◎学校別の特徴
・小学校
無気カ型,情緒不安定型が多い。
・中学校
情緒障害型が目立っている。
・高等学校
情緒障害型が63.1%であり,顕著な傾向である。
3.登校拒否児童・生徒の予防対策(1) 学校生活
1. 観察・調査により孤立化している子どもに注目する。
2. 孤立化している子どもに対しては,教育活動の中で充実感を与えるよう配慮する。
3. 算数(数学),体育の教科に興味と関心がなくなり,成績が著しく低下したときは注意する必要がある。
4. 登校拒否児に接したとき,有能な学級担任であっても指導の無力さを考えることもあろう。これは,担任の守備範囲を超えたものとして,専門機関に連絡し指導を受けることである。
5. 学級担任が子どもと接する場合に,よくない子どもとか困った子どもだとかという見方や意識をすてて,子どもの声に耳を傾けようとする態度が大切である。
(2) 家庭生活
1. 家庭における子どものしつけについて,父母の考え方を一致させることが先ず基本である。
2. 父は父らしく,母は母らしく行動する。父権不在と母性愛の欠如が登校拒否に結びつくと考えられるからである。
3. 祖父母と父母が子どものしつけについて,一体感を持つことで隔たりがあってはならない。
4. 祖父母のある家庭で母が共稼ぎの場合,祖父母から逃避する家庭に登校拒否児が多い。これは,母親の消極的な姿勢が子の性格を作りあげているからだと解される。
5. 登校拒否は,夏休み終了後の9月に一番多く出現するといわれる。夏休み中には,自主的な生活計画の実践が大切なことである。
長時間の家庭滞在の精神的抑圧が,登校拒否に結びつく因子となったのではないかと思われる。したがって,家庭環境は安足感に満ちたものでなけれぱならない。
4.おわりに今日の子どもたちは,学業,進路などで精神的不安を有している。ねぱり強い耐性,強い自立心,自制心の高い豊かな社会性を身につけるよう積極的な指導が必要である。登校拒否児の治療より登校拒否児が出現しない努力がより現場では大切であろう。