福島県教育センター所報ふくしま No.24(S50/1975.12) -006/026page
ら,音楽のより深い味わいと美しさを体験させることです。
3.3年生の指導
(1)たて笛の指導内容
学習指導要領では,「笛で簡単な旋律を吹くこと」と指導内容を示し,「習った歌唱教材を中心として,児童の能力に即し,楽しく演奏できるもの」と教材選択の基準を示していますが,具体的には次の項を指導内容としたい。
○音づくり(耳づくり)をとおして,正しい奏法を身につける。
○次の手順で から (実音)までの旋律が吹ける。特に3年次では中音城を中心に学習する。(2)事前指導
○事前のてだて
○鋭敏な感覚と注意方を養う。
たて笛に対して児童がなんの心理的準備もなく,興 味関心も生れていない時に,ある日突然与えられて も,教師の指導計画にそって学習はしても,児童の意 欲的創造的な学習は期待できません。新しくたて笛の 学習がはじめられるためには,たて笛に対する期待感 や強い欲求が芽生えるために,事前の準備や環境づく りが必要です。―番よい方法は教師自らの演奏によって,たて笛の素晴しさや魅力を感得させ,「やってみ たい」「吹いてみたい」という強い欲求を喚起させることです。また身近な上級生の演奏を集会や学校放送をとおして聴くことも,プ口の秀れた演奏を聴かせるよりかは,実現可能なものとして学習目標がより具体 化されることになるでしょう。
たて笛は作音楽器ですから,自らの耳で「美しい音」「正しい音程」さらにリズムや音形をつくってい かなけれほなりません。そのためには,音に対する鋭敏な感覚と注意カが必要です。たて笛を音楽的に美し く吹けるようになるためには,鋭敏な感覚と音に対する注意カや集中方を育てる基礎的指導が,低学年から 計画的に行なわれ・なけれほならないでしょう。その他,リズム問答,リズムカノン,複リズム打ち や音程を加えた旋律模倣に発展してよいが,単調な学 習に陥りやすいので,なんのために指導するかを十分認識して,児童がいつも生き生きと学習できるてだて が必要です。
(3)たて笛の持ち方と姿勢
まず,立った時座った時のよい姿勢とはどんな姿勢かを歌う時などを想起させながら話し合わせる。たて笛の持ち方は,児童が初めて体験するので教師から正しい持ち方を指導することです。
手や腕,手首,指の方を抜いて,たて笛を支える。たて笛と体が約45°の角度に持ち,口唇に静かに浅くあてる。(深すぎないこと)
(4)タンギング
導入期の指導で困難なものは,タンギングと呼吸法でしょう。これらは教師が観念的,図式的に説明しても,なかなか身につかないものです。児童の「美しい音で吹きたい」といった欲求と,身近な具体的方法から導き出さなければ,ある程度は理解されても,現実音にその効果を見ることはできないでしょう。
既習の歌唱教材を教師自ら悪い吹き方(タンギングつけないで)と正しい奏法で美しい吹き方を示し,比較させる。美しい音を出すにはどんな吹き方をしたらよいかを,1音ないし2音で試行させ,タンギングによって美しい音が発音できることに気づかせる。
タンギングの実際の指導では,身近なことほからタシギングの方法を体得させる。例えば,英語の1234の発音から,2(two)を抽出して,リズム模倣やリズムカノン等で発音させ,タンギングをつける方法が考えられます。
(5)呼吸法
たて笛で美しい安定した音を出ずためには,発声と同じく正しい呼吸が必要です。しかし正しい腹式呼吸を児童に理解させ,行動に移させるまでにほかなり大変なことです。下図のように紙片を口から約.20cmはなし,静 かに,平均の強さで呼気すると,紙片は一定の角度に曲がる。その場合,角度がいつも同じように,長時間呼気が統けられるようにする。この方法は,呼吸を視覚的に認知するとともに,注意カや集中方をつけるのにも役立ちます。一般に強く呼気する傾向があるが,2の(1)で述べたように,たて笛の特性として,静かな呼気で吹くことが,美しい音,正しい音程をつくる重要なポイントです。