福島県教育センター所報ふくしま No.24(S50/1975.12) -008/026page

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小・中 学 校 教 材

彫塑指導のための一考察

第一研修部 大 谷 英 輔

彫塑における創作活動は,小学校で粘土遊びからはじまり,その指導のねらいは,量としての見方,量としてのつかみ方を基礎として,立体感覚の表現を養うことにあり,中学校では,彫塑の表現を通して美的直観カや想像方を育て,それを率直に表す能カや態度を養い,自己表現の喜ぴを味わわせることにある。

彫塑は,ともすると塑造(モデリング)や彫造(カービング)ということからのみ考えられがちであるが,彫塑の範囲はあらゆる物質を素材として空間に形を構築する活動であり,いいかえると,彫塑とは諸材料を使って自己の心情を空間に実証的に形成する活動であるともいえる。

しかしながら,彫塑の実材として選ばれる多くの素材はそれぞれ個有の性質を持つものであり,どれでも自由に気楽に使いこなすというわけにはゆかない。つまり材料や用具の抵抗があり,それをどの段階で,どのように排除し,児童・生徒の創作活動を充分発揮する場を与えるかということが重要な要素になる。

以上のことを考慮しつつ制作実例に基づき,彫塑の―分野である石膏じかづけについて述べる。

石宵じかづけは塑造や彫造の両面を含むものであり,比較的自由に表現能力を養うことができ,興味の誘発に役立ち創作の喜びも体験できる学習である。

「石膏じかつけ。人物,高さ,約30cm」

◎学習のねらい

・モデルをいろいろな角度から観察し,かたまりとしての美しさを表す。
・石膏のとり扱いかたを理解し,じかづけの技法(溶 く,つける,けずる,硬化時間の理解など)を生か し,量(ボリューム),均衡(バランス),動き(ム ープマン)などの造形的感覚を身につける。
・骨組み(しん作り)が計画的にでき,台の上に立ち(動かないこと),自分の考えを立体的な形として とらえる方法を学ばせる。

◎用具と材料

・デッサン用具材料(画用紙は作品の大きさ以上のも の)。
・焼石膏粉(1人約1kg)。
・ポリバケツ数個(容器を洗う。新聞紙をバケツの底に敷いておくとあとしまつがやりやすい)。
・ホーローびきボールウ(生徒数,焼石膏粉を溶く)。
・針金(14番線,補助用24番線)。
・ぺンチ,ヤットコ(針金の処理)。
・ビ二―ル(ビニールの風呂敷など,机上に敷く)。
・彫塑へら,彫刻刀,フオーク,スプーン(フオークが比較的利用価値があり,だいたいの仕事はフオー クー本でたりる)。

◎学習の展開

1.デッサンをする。

(完成作品と同じ大きさにかく。デッサンはデッサン,作品は作品と実際の制作に入ると分れてしまうが,この関連づけが大切である。)(次ベージ参照)

デッサン

2.デッサンに骨組図をかく。

(台まで入れて図をかく。骨組みは赤エンピツなどでかくのもよい。設計図はしっかりかく)。

骨組図

3.しん作り

イ.構想に従い人体の基本形を作る。
ロ.デッサンをもとに基本形から人物の骨組みを決めてゆく。


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