福島県教育センター所報ふくしま No.24(S50/1975.12) -011/026page

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中 学 校 教 材

木 材 加 工 の 指 導 (1年板材)

第2研究部 三 瓶 忠 二

1.はじめに

生活に必要な技術を習得させ,それを通して,生活を明るく豊かにするためのくふう創造の能カ,および実践的な態度を養う。とは中学校技術・家庭科の総括的な目標であるが,これを学年目標では「・・・を通して・・・について理解させ・・・する能力を養う」と具体的に示されている。

すなわち,計画,製作,整備,などの実践活動を通して必要な理解と能力を養うことを示しており,技術・家庭科の基本的な性格を学年目標で強調している。

第1学年の木材加工では「主として板材で構成する木製品の設計と製作を通して,木材の特性と加工法との関係について理解させ,使用目的に即して製作品をまとめる能力を養う」とある。

2.木材と技術・家庭科

木材の使用は住居から家具,その他日常用具など実に多くのものに利用されており,木材の価値的な面は非常に高い。これは我が国の地勢,位置,気候風土など自然環境と資源によることが大きな要因である。

 

生徒は小学校において,木材の製作学習を工作等で経験しており,加工過程では金属加工に比して作業も容易であり,木材の外部構造の観察もし易いという利点をもっている。

したがって生徒達は常に木材に接し,親しみを感じ,製作について一応の経験はもつているが,技術的,理論的には乏しいものがある。

技術・家庭科の男子向き内容の第lに「現在および将来の家庭や社会における生活活動に必要とされる『技術』を対象とする」とあり,この教科の目標を達成するのにふさわしく,かつ生徒に容易に理解できるようなものを,これまでの実施された経験に照らしながら精選すべきであるとしている。

第2は「技術の理論」をべースとして指導内容を構成したとある。

「技術の理論」とは,―定の目的を達成するための行動のしかたを予見する理論であるとし,科学の成果を組織し,体系づけたものであり,技術は試行錯誤による 「カンとコツ」から大幅に解放されなければならないとしている。

生徒の技術・家庭科の教材の認識の過程はこのように「経験と理論」の中で育成されるとしたならば,単なる物作りに終ってはならないし,生徒の興味のみに走った製作でもならない。

木材加工の学習として押えなければならない要素をしっかりとふまえて,技術・家庭科本来の目標にそった学習の展開をはからなければならないと考える。

3.木材加工学習

第1学年の木材加工の学習領域の主たる過程は 板材を主成品として木製品をまとめる, ことにあり,その段階として,設計と製作という実践過程に入るわけであるが,その際に材料となる板材という中心要素の基本的な特性の理論的研究を忘れてはならない。

以下これらの段階について考察研究をしてみたい。

(1)設  計

第1学年の板材加工においては,第2学年角材加工への発展的な足がかりとして多分に, 構想 の研究と 要素 の分析が重要視されている。

第1学年の木材加工は,こうした意味あいから, 設計の手順 を学習しながら,製品をまとめる力を養うものであり,

第2学年の角材加工は生産的手順の訓練を重要視しているとも考えられる。

したがって1年の木製品の設計については

 ○構想表示
 ○構想図
 ○設計図
 ○製作工程表

を指導し,特に, 構想をまとめる 段階での指導が大切であることを強調したい。

生徒の既有経験を生かし,計画し,製作する実践過程において,最も創意性を発揮するのに容易であると思われるのが,この,構想をまとめる段階であるといえる。

制約された時間内に理論的なものを理解させ,一定の製作物をまとめることは大変だろうが,技術・家庭科の第2次目標である 「くふう創造の能カ」 育成には設計の段階こそ見逃がせない過程であることを確認したいものである。

 

第14回全日本技術・家庭科研究大会で,中学校1年の


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