福島県教育センター所報ふくしま No.24(S50/1975.12) -013/026page
解し思考することができるだろう。
木材の特性理解のための基礎的指導に顕微鏡をとり入れた学習活動のくふうも大切と思われる。
膨張と収縮の指導についても,含有水分の影響や比重との関連性,木材の構造的な特徴など,その取り扱いに ついて基礎的な関連要素を指導しなげれぱ,生徒達が理論的に理解することほ困難となってくるであろう。このように考えるならば,木材の特性に関する指導はその過程のなかで「あまさ」がなかったかどうか反省してみる必要があろう。
・実習題材の選定
物心両面について「生活を明るく豊かにする」のが技術・家庭科のねらいであるとするならば,実習題材の選定は極めて重要であるといえる。
実習題材の良し悪しによって目標達成が十分にはかられるか,半減したりするかが決定づけられると思うからである。
実習題材を選定する条件として,指導要領には
○各領域に示されている項目や指導事項に適切なもの。
○発展的,系統的な指導が行なわれるもの。
○生徒の興味や能カの程度に即しているもの。
○家庭生活に焦点をしぼり,その充実発展に役立つもの。とかなり具体的に示している。
実習題材として,指導要領や教科書に示されているものはいずれも選定上の参考例であって,これらに従うことはないというものの,実際にどういったものを選定したらよいか悩むものである。
県内には技術・家庭科の研究部会があり,各支部や方部別に編成された組織がある。
年に幾度かは会合や研究が行なわれているので,これらの問題についても討議され,論議をつくして最良の題材を選定されてみてはどうだろう。
4.学習指導計画
指導要領によれば
1)技術,家庭科の目標をふまえ,実践的活動を中核とする指導計画を作成十ること。
2)各領域の指導事項をふまえること。4)各領域の授業時数は,各領域の特色と題材を考慮して決めること。
5)各領域の学習順序は,学習の発展性や他教科との 関連を考慮しで決めること。<> br 6)作る,知る,考える学習が―体的に進められるように学習過程をくふうすること。
7)指導事項の知る,考える,できるについて,具体的な指導法,学習のさせ方を研究すること。
8)施設,設備の活用と安全指導に留意すること。各領域の基本的な指導計画は1)〜5)に,具体的な1時限における指導計画が6)〜8)にと考えられ,学習の方法や,学習過程をくふうしていく方向を示しているものではないだろうか。
学習の方法には,それぞれの理論があり,いろいろな特色がある。その特長を生かすよう心がけ,題材によっていろんな試みがされると思われるが,―例を参考にあげてみる。
(教師) (過程) (生徒) ・目標を明確にし
幾つかの類型に
分類する学習課題の確認 ・個人又は集団で ↓ ・課題にせまるた
めの諸準備課題の実施と
検討・良し悪しに気
づく↓ ・方法についての
思考をさせる課題解決の方法 ・最もよい方法を
考える↓ ・理解と実践とを
結合させる知識と方法の
理解・実践への手が
かりをつかむ↓ ・評価と反省 理解にもとづ
く実践・実践 ↓ ・計画(指導法の改善) 次時 ・発展 5.おわりに
しかし物を製作するという生徒の興味と関心とが先行して,指導過程での1節1節での創意性を生かす試みが軽視されてはならない。
生徒はあまりにも身近かにある木材 に対して,その特性を知らず,また工具や機械の正しい使用法と原理も知らぬままに物を製作してきたのが過去の経験である。
中学生として,小学校にはなかった新しい教科としての性格を生徒にわからせ,指導を適切にしていくならば,よろこびと感動のある技術・家庭科として,生徒の学習は,より好ましく展開されるであろう。
参考文献
中学校学習指導要領の展開
学習指導の手びき (県教委編)
木材物理 (北原覚―編)