福島県教育センター所報ふくしま No.24(S50/1975.12) -024/026page

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中学校社会科講座を受講して

伊達郡伊達町立伊達中学校

小 野 徳 郎

私たち教育公務員は,絶えず研修と修養に努めなければならない義務があるのですが,ややもすると日常の惰性のなかでの勤務をよしとし,マンネリ化する傾向があります。

このたび機会があって4泊5日間の中学校社会科講座を受講しての所感の―端を申しのべたいと思います。

まず第―に私共を担当してくださった先生方が事前に綿密な計画のもとに適切な助言をされたため,受講内容が―目瞭然には握することができ,見通しをもってゆとりのある研修ができたことです。「今日の日程はこのような順序でこう行います」とはっきり示唆してくれましたので安心して受講することができました。

第二に講師の先生方が献身的に教授してくださったことです。用意周到な資料の整備,手をとるような助言と指導は迫カがあり,講座が終るたびごとに充実感で―杯でした。教える立場から―転して学ぷ立場に立って考えたとき,自分のペースで授業を―方的に進めてはいなかったか。子供たちひとりひとりを生かす具体的な手だてがなされていたか……など反省させられる点が多かったです。そして指導とはこのようにするものだと暗黙の内に教授されたような思いがしました。

第三に講座内容はずれも現場での盲点をついたものばかりで,研修したことが明日の授業に直接生かすことができたということです。正直なところ講義内容としてとりあげられた歴史上の人物取扱い,地図の活用と作図,野外の観察と調査,或いは社会科の能カ別評価等は,現場では敬遠されたり,研究不十分だったりして指導が手うすになっていた分野ではなかつたかと思います。「学び方を学ぶ」ことの重要性を改めて認識させられました。

第四に快適な宿泊研修であったため,時間的にゆとりがあり,会員相互のコミュニケーションを通じて意見の交換ができ,全県的な動向がは握できたという点です。私兵39名が寝食を共にしながらの5日間で肌と肌とのふれ合いがなされ,兄弟の如く友情を深め得たことも大きな収獲たったと思います。

今後は,この講座で学び得た数多い貴重な体験を子どもたちの幸せのために大いに生かしていきたいと考えております。


中学校理科講座を受講して

いわき市立小白井中学校

吉 岡 栄

理科教育を担当している私たちにとって,「理科教育を通して何を習得きせるのか」については,つねに悩み続け,即答できないほどの難問である。つねに考えることだが,「花壇にはいるな」と注意はする。しかし,その植物は,ある限定された条件下で発芽すること,このことから,成長の偉大さ,神秘きに直結する方向性を含めた指導をしているだろうか自問している。

前期と後期にわたった講座は,私たち理科を担当している者にその方向性を与えてくれました。

まず,福島県立医科大学教授 森先生のご講演「福島県の環境変化と理科教育」の中で,「都市にとって樹木は飾りではない」と話された。この中に,理科教育の本質がありそうな気がしたし,長期間にわたる系統的な資料は,地球を閉鎖系としてとらえ,その中で自然のつり合いがいかに大事であるかを知ることができた。

物理,化学,生物,地学の各領域の講座内容も,各領域の中心になる指導であり,現代化にそっての指導であった。

教育は,個に成立させる作用であり,そのための教材研究の進め方を,教育的価値・仕組・関連・習得すべき技能等の視点に立って受講できた。

違った見方をすれば,私たは,毎日の授業に多くの問題点をかかえ,未解決のままで授業を展開していることになります。よって,これらの問題点の克服を,この視点から行なえば,充実した教育活動に直結するものと確信しています。以上のことからも,この講座の意義は大きいと考えます。

後期の2日半の選択研修も,40名の受講生にとって大変魅力があった。それは,

 ○理論にしたがって製作等の実施がなされたこと。
 ○製作した教具等で資料収集ができたこと。
 ○自作教具を持ち帰れたこと。

等をあげることができるからであります。

センターが創立きれて以来,県下の理科の先生力は数回にわたって受講していると思うが,その受講の成果はその人にとどまることなく,理科教育発展のもとに支部の組織が確立され,夏季等の中教研活動をとおして末端にまで徹底できるようになっている。今後も研究会等をとおして,成果が行きとどくよう希望してやまない。

今回の受講から感じ得たことを端的に述べれば,受講者の帰りのカバンの重さと,何かを成し得た満足感を感じさせる姿であった。これは,ひとえに,センターの職員の方々のご指導のためである。理科教育は,施設・設備の豊富さではない。限られた予算内で効率的な指導と自信を得るための研修をつもうとするその姿に,自然と人間生活の関係を理解させる糧のあることを知り得たことであります。


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