福島県教育センター所報ふくしま No.25(S51/1976.2) -004/026page

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け,送りがな,かなづかい,くぎり符号などが正しく使われているか。

イ修辞

語句の選択,叙述(たとえば,二つ以上の考えがはいっている文),構成(たとえば,文と文の考えが―貫しない段落)などが適切であるか。

ウ文法

主・述が―致しない文があるなど,文法上の誤りがないか。

また,作文が書けないという生徒の場合,次のような項目から具体的にとらえることができよう。

ア書こうとする必要を感じない。
イ書こうとする材料がさがせない。
ウ材料をまとめることができない。
エすじのとおった文章が書けない。
オ語句の使い方が適当でない。
カ文や段落の使い方が思うようにいかない。
キ必要な記号を適切に使うことができない。
ク読み手の反応を予想して書き方を調節することができない。
ケ書いたことに対して推考するカがない。

○聞くこと・話すこと

ア聞くことでは,きちんと聞きとる技術
イ話すことでは

 ・正しく,明瞭な発音で話すカ
 ・問答における答え方
 ・意見,感想などの発表のしかた
 ・語し合いのしかた
 ・話し合いの司会のしかた などが挙げられる。

なお,「聞く・話す」は,「読む・書く」と表裏をなすものであるから,前述の項目,たとえば「読むこと」の文章理解カの円順序をおさえて読むカは,「順序をおさえて聞くカ」とことぱを入れ換えれば,「聞くこと」についての項目がより具体的になろう。「話すこと」についても同様である。

○これまで領域別にとらえる主な項目を述べたが,大がかりなものはそう簡単には実施できないのが実状であろう。そこで,これだけでもぜひ調査したいと思うものを挙げてみると,

ア小学校で使用していた教科書で取り上げている教材,特に,童話・物語類。
イ国語科のどういう点に興味があり,何がきらいであるか。
ウ読書の状況,その好ききらい。
エ読字カ,書字カ,朗読の程度。(ふだんの指導からつかむ)
オ生徒の国語学習への希望。

○その他

ア 日記・作文
特別活動や道徳の時間の記録から,生徒のかくれた面を見いだすこともできる。

イ観察
観察者の主観によって,生徒の言動のとりあげ方が異なるであろうが,ぜひ活用したい方法である。

3.高校国語科教師からみた新入生の実態<> /p

今年度,本センターで実施した高校国語講座の受講者(40名)に,「高校の立場からみて,新入生が 特に劣っていると思われる内容」を答えてもらった。人数からいえば,統計資料として不十分ではあ るが次に述べる。

まず,劣る内容として,1位が「書く」で38%,以下,「文法」「学習のしかた」が各17%,「読む」 が15%,「聞く・話す」が13%となっている。その中の具体的内容の主なものを挙げると,

(1)書くこと

・誤字,あて字や筆順の乱れが目立つ。
・短文もつづれない生徒がいる。

(2)文法

・主・述の関係,動詞と形容詞の区別がわからな いなど,基礎的なカがない。

(3)学習のしかた

・ノートのとり方,予習・復習のしかたが身についていない。
何をどう学習してよいかわからない者が多い。

(4)読むこと

音読・朗読ができない。

(5)聞くこと・話すこと

・話すカがない  などとなっており,今後の指 導に生かすべき点が多い。

おわりに

以上,生徒の実態をとらえるための―般的なことから国語科における領域別の主な項目と,ひとつの実態例を述べてみたわけであるが,生徒に関するデータの収集には限度があることは当然である。したがって,いくつかの資料に基づいて生徒個々に具体的目標を立てて指導し,理解の深まりに応じて指導を再検討するわけである。しかも,その目標を生徒各自に受容させ,意欲的に学習する構えを持たせなければならない。

ひとりの教師が,生徒ひとりひとりを最大限に生かす授業は多くの困難を伴うが,このような資料を生かした指導計画によって授業を進める時,その何分の―かは解消できるものと考える。


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