福島県教育センター所報ふくしま No.25(S51/1976.2) -006/026page
3.実験・観察
小学校理科の特色は,自然の事物,現象から,直接学ばせてやることであり,学習を進めていく上で,当然実験や観察が中心になる。電流による磁カのはたらきの学習においても,毎時間の授業の中に必ず,その指導のねらいにマッチした実験,観察をくみこんでいくことが,効果的であると考えられる。ここでは主に,自作の簡易磁カ計を使っての実験法の概要をのべてみたい。
直流電流による方位磁針のふれ
○ねらい
4学年で方位磁針と平行においた導線に電流が流れると磁針がふれることを知り,さらに,電流の向きと,磁針がふれる方向の関係を理解させる。
○実験I
写真Tのようなたて27cm,よこ14cm,のべ二ヤ板に全円分度板のコピーをはり,その中央に磁針をつける。側木には,きりこみを入れ,そのきりこみにフォルマル線(長さ2m以上)をはめこむ。
磁針が南北をむくように机上の紙の上におきあとで 動かし(50年度小学校理科教材製作講座で製作)ても元の場所におけるように紙にしるしをつけておく。
―定の方向から電流を流したとき,電流の方向を逆にしたときのそれぞれについて,磁針のふれる方向をしらべる。
磁針の下に全円分度板をはった理由は,磁針の目盛は非常に小さく読みにくく又,磁針によっては目盛のないのもあるため写真3のように磁針と重ねて定木をおき上からみると容易に角度が読めるからである。
○ねらい
電流を―定の大きさに保ち,空間の特定部分における磁カのはたらきを強めるには,導線を同じ方向に重ねてまけばよいことを理解させる。
実験II
○データー
ア.16° イ.35° ウ.0° エ.31°
(直流0.5A)○実験III
―本の導線のときより,コイル状に重ねた方が,磁針が強くふれることから,さらに2回,3回,とまき数をふやしコイルに―定の大きさの電流を通して,磁針のふれを観察させる。
コイルにはフォルマル線を数 回まいておき,順次ほどいてまき数を減らしていってもよい。
電流は0.5Aというように統 ―するので,電源装置を使用する場合は,電流計だけを挿入して調整し,乾電池を使用する場合は,途中にニクロム線,電流計を挿入して調整する。次の表は直流0.5Aを流して測定した結果である。
まき数 電流
1回まき 2回まき 3回まき 4回まき 5回まき 6回まき 10mA 10(0.18) 14(0.25) 23(0.42) 29(0.55) 36(0.73) 40(0.84) 20mA 16(0.29) 28(0.53) 37(0.75) 48(1.11) 53(1.32) 57(1.54) 30mA 23(0.43) 37(0.75) 49(1.15) 56(1048) 60(1.73) 66(2.24) 40mA 28(0.53) 46(1.03) 55(1.43) 63(1.96) 69(2.60) 71(2.90) 50mA 33(0.65) 51(1.23) 62(1.88) 68(92.47 74(3.48) 76(4.01)
表中の数字は磁針のふれる角度θ, ( )内はtanθ
表1
グラフ1は,まき数と磁針のふれる角度を示したものである。
グラフ2は磁針のふれる角度が地球磁場による磁カと電流による磁カとの合カ方向をさしているものとし,地球磁場による磁カとの比を求めるために,たて軸にtanθ画像1 画像の下に画像タイトルが有る場合
をとり,グラフ1を書きなおしたものである。