福島県教育センター所報ふくしま No.25(S51/1976.2) -013/026page
算数・数学と音楽,図工(美術),技術・家庭,保険体育の学力の相関係数
音楽 図工
(美術)技術
(家庭)保険
体育小1 0.5837 0.4666 / 0.3755 小2 0.6030 0.5084 / 0.3501 小3 0.6095 0.4846 / 0.2016 小4 0.6268 0.3575 / 0.2560 小5 0.5830 0.3480 0.5946 0.2370 小6 0.5640 0.4191 0.5480 0.2497 中1 0.6658 0.5930 0.8246 0.5727 中2 0.6883 0.6426 0.6675 0.5399 中3 0.7143 0.6820 0.7039 0.5304
これらの4教科の学カと算数・数学の学カとの相関は,小学校時代には概して低く,中学校になると急に高くなっている。その原因としては,次の2点があげられよう。
(1)中学校の場合,ベーバーテストで測定された学カが,小学校よりも多く加味される。
(2)高校入試において,これら4教科については調査書の評点を重視するということに影響される。
4教科の中で最も高い相関を示しているのは,技術家庭であるが,この教科は,設計・製図など数学的内容を含む教材のほかに,理科的内容をも多分にもつため,実技面をのぞけば理科におとらないほど数学とは高い相関をもっているようである。
音楽は,算数・数学とふしぎな関係をもつ教科といわれている。それは,数学を得意とする者の中には音楽にすぐれている者が多いということで,その逆のケースはあまりみられない。このことは,松岡氏も指摘しており,外国の文献などにも記述されているところである。
音楽は,学年が進むにつれて算数・数学との相関が高くなっていくが,音楽理論などの知識理解と関係があるのではないかと考えられる。
図工(美術),保健体育は,算数・数学とは学カの相関という面からみると最も縁のうすい教科のようである。
中学校では,かなり高い相関を示しているが,それは,美術史とか,体育理論とかの知識理解面の学カが加味されていることや,高校入試とのかかわりあいによるものであろう。
算数・数学と音楽,図工(美術,,技術家庭,保健体育の学カの相関の変化
おわりに
以上をまとめてみると,算数・数学の学カと他教科の学カとの相関は,小学校3年〜5年まで全体的に下降し,小学校6〜中学校で上昇するといつた傾向がみられる。
(1)本県の小学校児童の算数の基礎学カの変動をみるとき,昭和4年度までは,上昇の傾向を示しているが,昭和43年度〜47年度で,小学校3年〜4年でほぼ―定,5年で下降している。 (研究紀要「学カ検査問題報告書からみた算数の基礎学カの変動」福島県教育センター,昭和51年3月)
松岡氏の論文をはじめ,これまでの研究の結果との相違をみるとき,上記の(1),(2)に―つの問題点があるのではないかと思われる。しかし,調査資料が学習指導要録の記録のみによっているため,信頼性の面に問題が残るので,今後さらに別の面からの考察が必要であろう。