福島県教育センター所報ふくしま No.25(S51/1976.2) -015/026page

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供してみたい。これは,受験者の応答状況を整理した表に能率的な考察を加えることができるもので,小間の関連表などともいわれている。いま小間Aと小間Bの関係を判断するためにっくられる関連表のつくり方を説明する。

関連表

小間AとBの関係判断

縦軸は小間Aについて右側が正答者数,左側が誤答者数を表わすものとする。第I象限はAとB 両方の正答者,第TT象限はAを誤りBに正答したものの数となる。第TTT象限はAとBの両方を誤ったもの,第TV象限はAに正答してBで誤ったものの数を表わす。AとBの関係を検討するため第I象限の数を100とし,第TT,第TTT,第TVの割合を百分率で表わす。第TT象限と第TV象限の率を比べAとBの内部関連を考察診断する。このとき,第TTと第TVの数を比較し,数の少い方が基礎事項であり,先習的に学習された内容であると判断する。関連のつよさは第TTと第TVの比の度合で表わすことができる(下図の6.2)。比がIに近い場合は両者が独立的にあって,―方が他方の基礎になっているというような関係になっていないと判断する。

特に比の度合いが大きいのに,基礎となっている方の数も大きいような場合は,それが基礎として完全でなく,他のいろいろな条件が混入しているとみなくてならない。

いま,診断標準テストを実施した福島市立D小学校2年N組40人の結果を整理し,関連表で診断を加えてみたい。

関係判断図

誤答の状況をみると,無意味な数値もあるが,基準との差をもって答とした誤り15,或いは5×3が多い。

連表から診断すると,1(四角1)―13の乗法九九の理解が1(四角1)―12の乗法の意味に先行して学習され,その基礎になっていることがはっきり表われている。少くとも,N学級では,乗法の意味を理解させてから乗法九九に進んだのではなく,乗法九九の理解を進めているうちに,乗法の意味が理解されていくような指導をされたにちがいない。これは,実際に今の診断のごとく指導しようとして,されたのかどうかは別として,結果がそのように診断できる状態になっているということである。

関連考察

次は領域1(四角1)の問題番号12,13,17,18の関連を考察してみる。17,18は乗法を適用して,問題を解く能カのテストだが,問題の素材が身近かなので正答率が高い。17(○17)18(○18)は12(○12)の基礎となっている傾向は認められるが,17(○17)と18(○18)の場合と同じく,その度合いは余り強くない。むしろ両者が独立的であまり関連がないとみることができる。のはのの基礎的失習事項でありのの基礎的事項になっている。つまり乗法の意味を理解させるのに乗法適用能力が基礎となって,学習が進められたことを示しており,先の場合と同様に適用問題を解いていく中で乗法の意味が理解されていったものである。

このように,いくつかの小問間の関連表から学習者が身につけている知識や,理解の状況の関連が明らかになり,別には学習者が身につけていく学カの自然な過程がわかるとともに,つまづきの発見,反省すべき点などをみいだすことができるものである。

5.結果について―結果の利用―

学カ検査結果の利用が不十分ではないだろうか。診断標準学カ検査は結果から何が得られ,どう活用し ていくかが大切なことである。結果の解釈はテストの価値を左右することから考え,解釈のための結果の整 理には,意を用いなけれほならない。

小問の正答率,県との比較,到達率,標準偏差,変異係数……など利用されているのが―般的である。 できるなら自分が或る程度,妥当性のある自作テストを作成できる技術を身につけておくことにより,結果から適切な解釈をひきだすことができるものであるが,個人毎の反応―覧表は,どうしても作成したいも のである。これは個人ごとに,かつ小問ごとに正,誤,無答を表示した学級の―覧表である。これによっ て小間相互間の応答状況を検討したり,くわしい分析をする手がかりをみつけることができる。

特に診断の重要なポイントになる小問について10題ぐらい抽出し,尺度解析することを提案したい。

○尺度解析表の作成

・各小間間の難易の決定(正答率により小間に順位をつける)…問題を表頭に場から難に配列をかえる。
・受験者を総合点によって順位をつけ表側に成績の上 位者から下位の者へと順にならぺる。
・小間ごとに,それぞれの正答者数に相応した境線をひく。これは理論的に正答者数だけ当然上位の方か ら正答すべきものとの判断による境線で,困難度曲線といわれている。


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