福島県教育センター所報ふくしま No.26(S51/1976.6) -008/034page
「フォ−トランの壁」にむかって
第3研修部 金 沢 義 夫
人間と人間とのあいだに言語があるように,人間とコンピュータのあいだにも言語がある。
もちろんコンピュータは金属物質なので人間のように多少の言いちがいも許してはくれない。
だからコンピュータ言語はつかい慣れてみないとなかなか通じないものである。
入門級の参考書を読み,講習会で理解したものの、いざコンピュータに語りかけてみると全く通じないものである。情けなくなってしまう。
コンピュータ言語はつかい慣れることが第一条件である。
コンマとピリオドのまちがいですら許してくれないものか・・・・・・という体験が第一条件である。
したがってコンピュータ言語の理解は読むこと聞くことより,実際に間違いを体験した人の方が理解がはやい。
いい年をしてこんな間違いを・・・・・・という気持が理解の最大の障害である。
しかしながら,いままでの生活体験にない全く異質な学習だけに,眼にみえない壁が頭の回転を空まわりさせるという現象に出逢うであろう。
問題は,その現象をなんとかはやくはらいのけることにある。
この現象さえのり越えれぱ,あとは不思議に,食事も忘れるほど白発的啓蒙にうながされて,誰かのいうコンキチになってしまう。
生徒の実習をみても,コンキチ状態になった人は,決して廊下を歩かない,かけ足である。
以下にあげる事は,いかにして早く壁を破るかというこころみである。
せん孔機に電気が入ると,そのかすかなうなりだけで興奮してしまう。
上の問題は,せん孔機操作のバンチ練習だけにつかい,文法は一切話さない。
せん孔したらコンピュータにかけてやる。白分の打ったものがコンピュータにかけられるときの関心を,いたずらにあおらない。
つぎに X=A+B 以外に
Y=A-B
Z=A*B
P=A/B
Q=A**2-B**2
を追加させてみる。
このとき、演算子の書き方を紹介する。そして印刷を
のように訂正させる。
学習者に多少の不安が生まれ,なかには質間もでようが,それはコンピュータにかけてから答えることにする。結果がそろったところで
(1)3・3,7・7,がA,B,に記憶されていること。(2)だから録音器のようにX,Y,Z,P,Qのときに, いつでもひき出してA,Bがつかえたこと。(3)WRITE文のこと。 _(4)FORMAT文の簡単な説明。その後A,Bを使って勝手に式を作らせ,自由に実習させる。
その次はA,Bの値がもっと沢山あったときはどうしようもないことを知ってもらい,READ文を紹介する。
そしてデータシートを配り,まず2列にA,Bの値を自由に書かせる。(ただし小数点の位置がそろっているように注意する。)
それから準備しておいた例題(数値は同じでも,記入の位置をずらしておいただけのもの)によりデータによるフォーマットの書き方を説明し,白由に書いた自分のものを
_ FORMATの()内に記述させる。
この後5分位いの休憩は効果がある。