福島県教育センター所報ふくしま No.26(S51/1976.6) -011/034page

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<教育研究法講座研究報告>

合理的な調理をするための実験をとり入れた指導

会津高田町立永井野小学校

 三 本 松 ケ イ 子 

1.研究の趣旨

(1)研究の動機

 第5学年では「日常の食物について理解させる」という目標を達成させるために,成長期であるという自覚のもとに,栄養の基礎的事項の理解と日常食品とのつながりをはっきりさせ,栄養的な食事のとり方をわからせようとしている。

 児童たちはすでに「食物と栄養」で,食物のとり方について学習しているがまだ調理実習の経験はしていない作ってたべることについては,給食でたべたものの中から家庭で作ってもらってたべた児童もみられ,なんらかのかたちで調理の経験を持ち,また調理に対する興味も高い。

 生野菜の調理に入る前に,児童に対して野菜の好みや食べ方などの調査をしてみた。

野菜に関する調査 5年 23名

1 好きな野菜名 <表1>
トマト 44%
レタス 30
きゅうり 13
キャベツ 9
大根 4

2 好きな野菜のたべ方 <表2>
そのまま生でたべる  61% 
サラダ  26 
漬け物  6 
いため物 5
煮もの 2

栄養に対する関心や知識が高められている現在,各家庭でも調理にはくふうがなされているわけであるが,調査から,野菜が豊富にとれる地域のため,新鮮な生野菜を多く食べている。その食べ方として,新鮮なものを塩や味そ等でそのままたべることが多く,調理としてのくふうがなされた食物のとり方ではないことがわかった。

 また野菜についての知識調査をしてみると次の表のような結果をみた。

 3 きらいな野菜は何か <表3>
ピーマン  70%  特にない  17% 
玉ねぎ  13     

 4 生食できる野菜を知っている。<表4>
きゅうり  78%  キャベツ  48% 
トマト  65  大根  13 
レタス  48     

 5 ビタミンCを含むくだものと野菜を知っている<表5>
みかん  48%  ほうれん草  83% 
いちご  48  はくさい  39 
レモン  40  きゅうり  22 
    キャベツ  13 

 6 生野菜の洗い方を知っている。<表6>
キャベツなど大きい葉のまま流水で洗う  9% 
細かく切って水につけてひきあげる  91 

 7 新鮮な野菜のえらび方がわかる。<表7>
色でえらぶ  43% 
手ざわりでえらぶ  30 
みた感じでえらぶ  13 
つやでえらぶ  4 

 8 食物と栄養の関係がわかる。<表8>
たんぱく質  (魚)  91% 
炭水化物  (ごはん,パン)  87 
しぼう  (バター,油)  78 
カロチン  (ほうれん草)  70 
無機質  (牛乳)  48 
ビタミンC  (大根)  43 

 以上のことから生野菜の名まえは,毎目たべていてよく知っているが,栄養面を考えたとりあつかいなどは知らないことがわかった。

 調理上もっとも大切なことは,「栄養があって,おいしい料理を作る」ことである。このことを児童たちに理解させることが,合理的な調理をさせるもとになると考えた。

(2)問題点とその分析

調査の結果から

  1. ビタミンCについての知識,理解の程度が低い。
  2. 生野菜の栄養と洗い方の関係がわからない。
  3. 野菜の生命である新鮮さについて判断ができない。

 これらの原因を除き,生野菜の調理においてピタミンCの損失を少なくさせるためには,ビタミンCを含む食品の調理上の性質をよく理解させることが大切である。


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