福島県教育センター所報ふくしま No.26(S51/1976.6) -016/034page

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考を追いつめれぱ,ねらいとする総合的な判断力は伸びよう。

(2) 仮 説

 1. 仮説

 「中心価値を探究する過程において,自己の持つ道徳性をとらえ,多角的な思考をさせれぱ,総合的な判断力が伸ぴるであろう。」

 2. 仮説の解釈

指導過程の中で,仮説の筋遺をとらえるために,

(ア) 「中心価値を探究する過程」を「主題のねらいとする価値を認識する働きの中」(で)とし,また,

(イ) 「自己の持つ道徳性をとらえ」を「自己の身についている諸価値的志向性を自らの働きによって認め」,

(ウ) 「多角的な思考をさせれぱ」を「(主題のねらいに)関連する諸価値を異なった観点から,とらえ得るようにくふうをすれぱ」とし,更に,

(エ) 「総合的な判断力が伸びるであろう」を「判断の内容において,より視野の広い,よりたしかな価値的志向性(のある考え方や感じ方)が見られるようになるであろう。」とした。

3. 計 画

(1)方 法

 1.一群法

 2.検証授業(1学級の中で,A・B方式を行う。)

(ア) A方式とは,仮説実践の授業をいう。

(イ) B方式とは,仮説によらない,従来の授業のことをいう。

(ウ) A方式とB方式の主な相違点
導入  初発の感想・筋のたしかめ  A・B方式同じ 
展開  同質性・異質性の発見  A・B方式同じ 
(ねらいに)関連する価値からの異質化の追求  A方式 
(自ずからとらえた)同質性からの異質化の追求  B方式 
終末  終末の感想・生徒個々の主体化の把握  A・B方式同じ 

 (エ) 検証授業の内容と順序

表(3) <授業の資料は,表(1)の各領域を考慮した。>

順序  方式別  領域別  資料名  出典 
第1回  B  家庭  お年玉の思い出  学研 
第2回  A  社会  数雄の坑議  東書 
第3回  B  友人  転入生の日記  精華堂 
第4回  A  自己  アイヌ語研究にふみきる  東書 

(2) 対 象

 第1学年1組(生徒数24名,但し,在籍26,欠2)

(3) 組 織

 個人研究(但し,学級担任の協力「授業」を得る。)

(4) 日 程

1. 第一期(昭和50年6月〜昭和50年9月)

(ア) 研究計画(イ) 文献研究(ウ) 研究主題および仮説の設定

2. 第二期(昭和50年10月〜昭和50年11月)

(ア) 検証授業(イ) 検証授業の分析と考察(ウ) 事前・事後調査と検証

3. 第三期(昭和50年2月〜昭和51年2月)

(ア) 研究のまとめと反省(イ) 研究発表(報告)

4. 概要と考察

(1) 研究の経過

 1. 検証授業までの準備

(ア) 研究計画による生徒の実態分析と問題点の把握

  ○事象からの検討○道徳性検査による検討

(イ) 問題点の解決に追る手立ての研究

  ○文献研究○研究主題および仮説の設定  ○検証授業案の作成

 2. 指導過程の編成

(ア) A方式(具体例は,例4を参照のこと)

表(4)<知見開発・心情純化の併用型>
過程  指導過程の構想  構想の筋立て  指導上の留意点 
導入  前テスト・問題意識  同異質性の意識 初発の感想と筋の把握 
展開  a  追体験の内容  同異質性の確認  想起による自己認識 
b  他者の理解  異質性の発見  関連する諸価値の認知 
c  追思考の内容  異質化の追求  状況把握中心価値追求 
終末  主体化・後テスト  新しい価値認識  終末の感想と変容把握 

(イ) B方式(具体例は,例4を参照のこと)

表(5)<追思考中心の型>
過程  構想の筋立て  指導上の留意点 
導入  問題意識のたしかめ  初発の感想と筋のたしかめ 
展開  a.同質性と異質性の発見  対立価値の把握  思考を追いつめる 
b.同質性の異質化の追求  中心価値の認知 
終末  主体化のたしかめ  終末の感想による学習の総め 

(ウ) A・B方式編成の意図

 ◎ A方式のaは,自己の体験を想起することによって,自己の持つ同質的な感じ方や考え方をとらえる過程であり,bは,異なる観点からの価値意識をとらえる「多角的な思考」(心情の純化や知見開発)の場であり,cは,適切な状況分析によって・生徒自らの感じ方や考え方の価値意識の志向を想定的にとらえさせ,主題のねらいとする中心価値を,広い視野から探究させようとしたものである。

 ◎ B方式のaは,生徒自らの感じ方や考え方の中から,生徒個々に,同質的なものと異質的なもの


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