福島県教育センター所報ふくしま No.26(S51/1976.6) -019/034page

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B方式(n=24)  第1回  第3回 
M  S・D  M  S・D 
事前  52・50  15・66  43・89  20・08 
事後  55・28  18・60  47・22  18・03 
相関関係  r=0.971  r=0.761 
分散の検定  T 0 =3.470>T 0.01   T 0 =0.797<T 0.01  
平均の検定  T 0 =2.638<T 0.01   T 0 =1.200<T 0.01  
○事後テストAB2方式の検定
(n=24)  1回〜2回  2回〜3回  3回〜4回 
M  S・D  M  S・D  M  S・D 
B方式  60・83  18・88  60・83  18・88  43・44  15・75
A方式  55・28  18・60  47・22  18・03  47・22  18・03
相関関係  r=0.259  r=0.472  r=0.475 

※ 事後テストの比較では,有効基準r=0.65未満で,それ程高い相関がないので,「相関する場合でない検定」によることにした。

区分  1回〜2回  2回〜3回  3回〜4回 
分散の検定  F 0 =1.03<F 0.05 =2.01  F 0 =1.10<F 0.05   F 0 =1.31<F 0.05  
平均の検定  T 0 =1.00<T 0.05 =1.96  T 0 =2.50>T 0.05   T 0 =0.78<T 0.05  

 以上の検定結果から,事前事後テストの検定では,有意水準1%で,第4回目(A方式)に,事後テストAB二方式の検定では,有意水準5%で,「2回から3回」に,それぞれ有意差が認められる。しかし,変容因子としての認知・心情についての等質的な条件が,適切にとらえ得るかどうかは,これからの研究をまつほかはなく,従って,検定結果の解釈については,他の方法による裏付けが,必要であろう。

(イ) A・B方式の授業例2・3の「発言」から
A方式(例4)  生徒の発言  27回  教師の発言  10回  基本発問  8回 
B方式(例3)  19回  18回  5回 

 「発言の数」については,多いことが,それだけで,「多面的」な考えをしているとはいえないが,多くの場合,いろいろな視野に立って話し合う場合は,それだけ発言も多い。この場合(A方式の授業の「教師の発言と基本発問」に対する「生徒の発言の数」の比率から)も,その現われと見られる。

(ウ) 事象例「買い食い」についての調査結果から
時期\判断  よい  よくない  条件による  視野(理由) 
事前(S50.6)  9人  16人  0人  16(種類) 
事後(S50.11)  4人  15人  6人  27(種類) 

 「買い食い」から派生する間題(「金銭のムダ使い」「金銭の貸借」「夕食への影響」など,基本的な生活習慣)から,研究主題のねらいとする授業効果への期待が,表中の事前と事後の変化に現われたと評価したい。勿論,A方式の効果だけによるものとは言い切れないが,内容的に見ると,価値的志向性の高まり,「よい「5人減」),論理性・創造性の深まり(条件付「6人増」),視野の広がり(理由「11種類増」)など,顕薯な変化が見られた。

(3) 結 論

1. 検定およぴ諾考察から

(ア) 授業の事前および事後調査緒果の検定

(イ) 検証授業およびその発言数の考察

(ウ) 事例象「買い食い」の事前事後調査結果の考察

 以上の内容から,(ア)の検定の裏付けとして,(イ)・(ウ)の考察を試みたとき,判断の基準となる例1の3領域において,たしかに,変容を認め得るとした。

2. 結論

 1.から,「道徳の時間『主題のねらいとする価値を探究する中で,資料に含まれる自已のよさに気付き,主題に関する価値を正しく認織することによって,主題のねらいとする価値がとらえられ,より広く,よりたしかな道徳性が養われ,総合的な判断力が伸びる』といえる。」

5. 反省と問題点

(1) 計画についての反省

1. 学級担任の協カを効果的に得るためには,「研究の趣旨・手順・目程・準備」についての共通理解と「分担作業のたしかめ」が,大切であった。

2. 研究主題および研究仮説の「検証性」は,やはり,「より具体的に,生徒の実態を分析した評定尺度の改善研究」が必要であった。

(2) 授業についての反省

1. 生徒の実態をよりよく吟味し,「(思考の展開や深まりを助ける)予想反応」を設定すべきだった。

2. 検証授業は,ねらいの内容を明確にした記録の構想を,更に,検討し,具体化する必要があった。

(3) (1)と(2)の反省を,今後の問題点として,とらえるとともに,特に,新資料の解釈とそれに基づく仮説検定の解釈など,妥当性において,間題点を残した。

6. 文 献

(1) 1. 道徳教育の研究(自由書房) 2. 中学道徳の主題構想と授業(明治図書) 3. その他

(2) 1. 教育研究法序説(福島県教育センター)

    2. その他「講座資料」(福島県教育センター)


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