福島県教育センター所報ふくしま No.26(S51/1976.6) -020/034page

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昭 和 51 年 度

教育センター事業計画案内

◇ 研 修 部

1. 研修事業のねらい

 教育センターは,新しい時代の要請にこたえるため,県内小・中・高等学校教職員の現職研修の場として設立された唯一の研修機関である。したがって,本県教職員の資質の向上を図り,指導力を充実させるため,学校経営・教育研究法・各教科・特別活動・教育工学・教育相談・情報処理教育等に関する各講座を開設し,講義・協議・演習・実習・観察・実験等の方法を通して専門的内容を深めるとともに,全員宿泊することによって人間的研修をも積み,学校および地域における教育活動をいっそう推進させようとするものである。

2. 本年度研修講座の特色

(1) 研修事業の一元化を図った。

 昨年7月以来,教育庁総務課が中心となり,義務教育課・高等学校教育課・保健体育課・教育センターによって「庁内教育問題研究会」を開き,教育庁としての研修事業について種々検討を加えてきた。その結果

  1. 指導に関する研修事業は教育センターが主として担当する。
  2. 行政に関する研修事業は本庁各課が担当する。
  3. ただし,保健体育に関する実技の伴う研修は,教育センターの施設の関係上,当分の間は保健体育課が担当するものとする。

ということになり,各課の研修事業を整理統合して研修事業の一元化を図り,現場の要望にこたえることにした。

 教育センターの研修に組み入れられたものは次の通りである。

(2) 研修期間を全面的に短縮することにした。

 「目進月歩」のことば通り,目まぐるしく変わる現代において,教師の現職研修の必要さについては今さら論を重ねるまでもないことである。といって,研修のために現場の授業をおろそかにすることはできない。

 そこで,昨年9月,県下各地区の小・中・高等学校を訪問して実態を調査したり,研修生の反省記録等を参考にしながら検討した結果,次のように研修期間を短縮することにした。

  1. 短期研修の4泊5日を3泊4日とする。ただし,高等学校の情報処理講座については,研修内容の関係上従来通り4泊5日とする。
  2. 長期研修はすべて年4回(年間20日)を年3回(年間12日)に圧縮する。

(3) 「特別活動」の講座を新設した。

 知育偏重の是正,人間性の回復,人間教育の重視といった時代の要請に伴ない,要望の多かった「特別活動」の講座を新たに設けることになった。

(4) 研修にライフ,サイクル方式を応用した。

 研修を効率よくすすめるには,ライフ,サイクル式がよいと言われている。即ち,経験年数に応じた講座を組んで,焦点のはっきりした研修をするというものである。

 教職経験の浅い人たちは,教科教育法,指導技術,実技といった面の研修を願い,10年,15年,20年と経験されている方なら各教科の本質的な理論とか,教科主任,学年主任といった立場から教科経営的な面の研修を希望される。

 このように,経験年数に応じて講座を組めば,受講する側としても,また,指導に当る側としても焦点が明確であるため効率のよい研修がすすめられるというわけである。

 しかし,いくらいい方法であってもいきなり改めては,推薦する場合に混乱が生じるだろうと考え,本年度は実験的に次の二講座について試みることにした。

  1. 小学校音楽講座の3回のうち1回(8月31目〜9月3日)を「低学年担当者」と指定する。
  2. 小学校教育工学講座の3回のうち1回(6月1目〜6月4目)を「初心者」と指定する。

 このライフ,サイクル方式を全面的に取り入れるには,個人ごとに「研修歴」なるものをはっきりさせておく必要があろう。

 そのためには,個人ごとに「研修歴カード」があって,研修終了ごとに必要事項を記入し,職場が変ってもそれを持ち歩くという方法がとられているようになっていなけれぱならない。できうれば同様のものを学校,地教委,教育事務所に置いてあって,年度末にそれらをとりまとめて個人が記入し,再ぴ配分するといった,いわぱ「履歴書方式」がとられれぱ申し分がない。

 こうした手を打たないまま,ライフ,サイクル方式で講座を組もうとしても,いたずらに混乱をひきおこしかねないので,考慮してみる価値があるのではあるまいか。いや,すでにその期期がきていると考えた


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