福島県教育センター所報ふくしま No.28(S51/1976.10) -007/026page
て L形 に製作する。製作時各寸法とも若干長くとり,組み立て時に余分を切断するようにするとよい。
10(丸囲み数字) ターミナル ヒーター,パイロットランプ,スイッチ片へ配線するのに必要である。2Pのものであるが,下部のねじ頭が若干でているので,木台に固定するとき安定を欠く。下穴をあけるとよい。
11(丸囲み数字) 調整用つまみ,市販品には付いていないが,水が蒸発完了して温度が上昇しても,磁石が落下するのに時間がかかりすぎることがある。この時間調整のために付けるもので,頭部が合成樹脂の円形(直径12),下部がねじ(長さ12)になっているものが適当である。この頭部に磁石を接合し,保持金具と連動棒の接合部を吸引させ調節する。
12(丸囲み数字) スイッチ片 燐青銅板(厚さ0.3)で,10×60に切断し,右側板に連動棒と平面で接触するように取り付ける。この材料は,銅板と比べ弾性が強く,連動棒と作動時接触がよい。
13(丸囲み数字) 連動棒 磁石保持金具の下端と接合している軟銅棒で,16(丸囲み数字)に対して,一方のスイッチ片の役目を果している。直径3〜3.2で,長さ120位が適当である。支持板に取り付ける関係上,右端より4分の1の部分を平たくつぶし,直径3.5の穴をあけビスねじで固定する。この棒の右端を押し下げることにより,磁石は食器底に吸着し,電流が流れる。磁石が落下すると,連動棒と20(丸囲み数字)が離れてOFFになる。
14(丸囲み数字) 支持板 連動棒を支持するもので,8×10×25に製作し,上部より3分の1の中央部に直径3.5のビスねじ用穴をあけ,木台に固定する。連動棒を取り付ける際に,裏側に配線用卵形ラグ板をはめ込むようにする。
15(丸囲み数字) パイロットランプ 市販品のAC110Vネオンランプを使用する。
16(丸囲み数字) 電源用差込みプラグ
6.材料表
番号 部品名 材料・規格等 数量 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
木台 側板
断熱板
ヒーター台
断熱板
絶縁板
ヒーター
磁石
磁石保持金具
ターミナル
調整つまみ
スイッチ片
連動棒
支持板
パイロットランプ
差込みプラグ
絶縁チューブ
コード
ラグ板
木ねじ
ステップル
ラウン 10×120×200 ラウン 6×30×70
石綿 6×62
亜鉛鉄板 t0.3×60×110
石綿 60×81
雲母板 t0.15×60×81
AC 100V,150W用
フェライト t3.5×20ø
亜鉛鉄板 t0.3×35×120
2 P
頭合成樹脂10ø ねじ長12
燐青銅板 t0.3×10×60
軟鋼棒 3.0×120
ラウン 8×15×25
ネオンランプ AC110V
120V,15A
10ø×100
30芯,平行ビニール 500
卵 形
さら,ねじ長 6,12
絶縁用 5/8
1
2
2
1
1
2
1
2
1
1
1
1
1
1
1
1
2
1
2
各4
2
7.試験と調整
製作が終り一応完成したら,次の順序と方法により,試験と調整を行なう。
1 回路図にもとづき,配線が正確であるかどうか調べる。
2 食器に亜鉛鉄板片を入れる。
3 連動棒の右端を下げ,磁石を食器底に吸着させ,スイッチをONにする。
4 回路計を抵抗計にして,導通と絶縁試験を行なう。特に,各部のはんだ付け,スイッチ片の接触,絶縁状潜は完全であるか調べる。
5 差込みプラグを電源に入れ,スイッチをONにし,パイロットランプの点燈をたしかめる。
6 食器に水10mlを入れ,スイッチをONにすると約10分位で65〜70℃になり,4〜5分もすぎると蒸発が終了する。5〜6分で食器底は100℃を越え,磁石は落下しOFFになる。
7 ストップウォッチと温度計(150℃以上のもの)を使い,時間の経過による温度上昇と蒸発の終始,磁石の落下点をグラフ化するのもよい方法である。
8 スイッチをONにしてから,OFFになるまで,6分以上かかる場合は,水量を加減し,調整用つまみで吸引カを調節し,時間のかかり過ぎを防止する。
8.まとめ
電熱器関係の教具は,断熱と絶縁を完全にすることが必須条件である。また,本教科の性格から,身近かに材料を求め,手軽に製作し,それを使って学習効果をあげることが大切である。
本試作品は,次の学習内容を提示している。
・ 直接加熱式炊飯器のフェライト式サーモスタットの機構とその作動の概要。
・ 電気回路図と製作図の読図と作図。
・ 回路計による導通,絶縁試験と抵抗,交流電圧の測定。
・ オームの法則,電力,電力量,熱量の計算式の通用。
参考文献
理化学辞典 岩波書店
家庭の電気工学 オーム社
電気機器 開隆堂