福島県教育センター所報ふくしま No.28(S51/1976.10) -010/026page
相談項目
担任と相談
担任外と相談
計
合計
%
男
女
男
女
男
女
1 健康,身体 7 2 2 1 9 3 12 7.5 2 学業 2 1 2 1 4 2 6 3.7 3 成績 9 5 2 4 11 9 20 12.4 4 学習方法 3 5 8 5 11 10 21 13.1 5 進路 2 2 4 7 6 9 15 9.3 6 進学 13 14 5 7 18 21 39 24.2 7 就職 0 0 0 0 0 0 0 0 8 父母 0 0 0 0 0 0 0 0 9 家庭 0 0 0 1 0 1 1 0.5 10 家事 0 0 0 0 0 0 0 0 11 経済 0 0 0 0 0 0 0 0 12 異性
1 1 0 2 1 3 4 2.5 13 性格 5 2 3 8 8 10 18 11.2 14 興味 1 1 0 0 1 1 2 1.2 15 交友 0 0 2 3 2 3 5 3.1 16 人生 0 0 0 0 0 0 0 0 17 部活動 0 4 4 4 4 8 12 7.5 18 学校,教師 0 5 0 1 0 6 6 3.7 計
43 42 32 44 75 86 161 100.0 相談項目の多い順にあげてみると,進学,学習方法,成績,性格,進路 となっているが,高枚受験に関係する相談が極めて高い比率を示している。
また,中学生は,自我にめざめ,自分をみつめる年代である。従って,自己の性格についての悩みも多くなってくるので,生徒が自主的に解決できるようにするため,教師は,生徒を援助する手段を考えなければならない。
O中学校では,定期相談の反省として,次の点をあげている。・生徒に切実さがなく,本音を言わない。
・教師の一方的相談に終始している。
・自主来談が少なく,呼び出し相談,チャンス相談では,説諭,叱責になりがちである。
<7> 学校教育相談の限界
学校における教育相談では,次のことをふまえて教育相談を行い,もし限界点に達していると判断される場合は,病院,児童相談所,精神衛生センター,教育センターなど関係機関と連絡の上対策を考える必要がある。
・生徒本人の言動に現われている問題がかなり重症であり,精神医学的疾患を持っている場合。
・神経症的な情緒的問題が深く,教師という立場では,面接相談関係が成立しにくい場合。
・特殊技術の療法を必要とする場合。
・母親をはじめ,家族に大きな問題の要因があるのではないかと思われる場合。
・非行生徒や反社会的傾向の強い問題生徒で,教師や親に対して,極めて反抗的態度の強い場合。
4.教育センターにおける教育相談の現況
(1)昭和51年度相談ケース数(4月〜8月)
幼児
小学生
中学生
高校生
一般
教員
計
%
知能・学業 性格・行動
進路・適性
身体・神経
教育一般
5 1
0
7
2
7 1
0
12
2
4 3
0
4
0
0 2
0
4
0
0 1
0
0
0
2 7
0
1
6
18
15
0
28
10
25.4 21.1
0
39.4
14.1
計 15 22 11 6 1 16 71 % 21.1 31.0 15.5 8.5 1.4 22.5 100.0 昭和51年度(4月〜8月)の教育相談の傾向を考察してみると,相談ケース数は71である。(昨年同期は63)相談ケース数では,8ケースしか増加していないが,相談件数では270件であり,昨年の209件より約30%増になっている。
1 学校別で相談ケースの多いのは,小学校であり,ついで,中学校,高等学校の順となっている。
2 相談内容別では,身体,神経に関することが多い。依然として,登校拒否の相談が目立っている。
3 問題児の指導のことで,小・中・高の先生方が多く来談していることは注目すべきことである。
(2)学校種別ごとの主な相談内容
1 幼稚園(保育所)…○自閉的傾向 ○発達遅滞
2 小学校………○登校拒否 ○発達遅滞
3 中学校,高等学校…○登校拒否
登校拒否児には,内向的,引っ込み思案,孤独,無口などの非社会的性格が日立つので,できるだけ友達に接触させるような指導が大切である。
5.おわりに
学級担任は,学校生活の中で,子供に接触する機会が一番多く,子供の不適応な行動を最も早く発見し,予防できる立場にある。しかし,人間関係が親密にならない限り,問題の解決は困難である。子供の心を理解し問題解決にあたる担任の理想像としては,次のことが言われている。
・ 教科の指導以上に子供を育てることに関心を持っている。
・ 子供の感情を大切にする。
・ 人と人の関係で子供の行動は変わることを理解している。
・ いつも行動の背後にある条件や過程を理解している。
・ 子供の動きに新鮮な感動を持っている。
・ 子供の独自性を大切にする。
心身ともに健やかな子供に育てるため,すべての教師は,教育相談的な考え方を理解して,子供の心の中にあるいろいろな悩みの解決にあたられることを希望するものである。