福島県教育センター所報ふくしま No.28(S51/1976.10) -011/026page

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<新設特別活動講座紹介>

望ましい特別活動指導のあり方を求めて

第1研修部 大 草 栄 治

1.特別活動の課題にこたえて

 現行学習指導要領に基づく教育課程の三領域の一つとして位置づけられている特別活動の特色を,他の教育活動と比較してまとめると,次のようにまとめることができる。

 ・ ねらい

 調和と統一のある(全人的な)人間形成をめざしていること。

 ・ 内 容

 集団的実践活動に主体がおかれていること。

 このように,各教科・道徳とあいまって人間形成(実際的には人間性の調和と統一の回復)のうえから重要な教科・道徳以外の諸活動を統合し,特別活動として教育課程の一領域として明確に位置づけ,「授業としての特別活動」の性格を鮮明にした背景には,次のようなことがらがある。

 ・ 科学・技術の著しい進展に伴う人間性喪失の傾向に対する世界的な教育改善のための動向

 ・ 知識・技能を教授することを重視する各教科中心の学力偏重(主知主義)の伝統的な傾向への反省

 こうしたことをふまえて具体的な教育課程改善の経過をとらえると,望ましい人間形成をめざして調和と統一のある教育課程の編成をねらいとした現行指導要領の基本的な考え方,そしてその発展としての人間性豊かな児童・生徒を育てることを教育課程改善の主たるねらいとした「中間まとめ」の考え方をあげなければならない。

 しかしながら,実際の特別活動指導のあり方には,自由研究にはじまり特別活動に至るまでの教科外の諸活動の重視と教育課程化の努力が続けられてきたのにもかかわらず,依然として多くの問題があることは否定できない。

その基本的な理由としては,

 ・ 特別活動の指導に関する教育理論がいまだに安定していないこと。

 ・ 教科外の諸活動の教育課程化の歴史が浅く,教育課程化された諸活動も未開拓な面が多いこと。

などがあげられよう。

いずれにしても,個性の伸長をじゅうぶんにはかり,自主的,積極的に社会に貢献しようとする実践的な人格を形成するための教育活動−授業としての特別活動−の日々の課題は,次のようなことにつきるのではないだろうか。

 ・ 授業としての特別活動の意識の強化

  * 授業とは教育課程を実施することであり,それは目的的,計画的な教育活動でなければならない。

 ・ 過去の授業や教育課程のとらえ方(教科中心のとらえ方)の変革と特別活動の実践的努力の集積

 以上のようなことから,新設された特別活動講座においては,「特別活動の基礎理論,効果的な指導法等についての研修を深め,その識見と指導力を高める」ことをねらいとし,特に本年度は「学級担任の立場」での特別活動指導のあり方に焦点をあて,次のような研修内容で講座を運営している。

1.療別活動の意義と目標(講義)−小・中学校

2.特別活動の内容構成と指導の着眼点(講義)−小・中学校

3.特別活動指導計画の改善(講義・演習)−小・中学校

4.学級会活動の指導のすすめ方(講義・協議)−小・中学校

5.学級指導のすすめ方(講義・協議)−小・中学校

6.学校行事指導計画の改善(講義・協議)−中学校

7.特別活動の評価(講義)−小・中学校

 講師の方々も,千葉大学教授 坂本昇一先生,福島市立第三小学校長 佐藤 裕先生をはじめとし,特別活動の指導に意欲的に取り組んでおられる先生方をお招きし,研修の効果を高めるようにつとめている。

2.よりよい特別活動の指導をめざして

 特別活動の目標を達成するためには,特別活動を成立させるに至った教育課程化の意義や経過と特別活動の果たすべき教育的な役割や指導の本質について,じゅうぷんに理解を深めておく必要がある。

 そこで,本講座において総論的な内容としてとりあげていることのうちから,上記のこ点にしぽって取りあげ,それぞれの内容の重点について述べることにする。


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