福島県教育センター所報ふくしま No.28(S51/1976.10) -013/026page
(2)特別活動指導の基本的な考え方と指導の本質
特別活動の目標を達成するために実際の指導をすすめるにあたっては,指導にあたる教師が特別活動の児童・生徒の人間形成に果たす役割,各教科,道徳と異なる特別活動の特質,特別活動の内容のすべてに共通する指導の本質についてじゅうぶんにとらえる必要がある。
<1> 小・中学校の全体目標の関連
ア →各教科・道徳と異なる特別活動の特質である。
・望ましい集団とは,民主的な集団(相互理解,相互尊重,相互作用のある集団)である。
・望ましい集団活動とは,民主的な集団活動である。
イ →学枚教育のすべての教育活動に通ずる目標である。
・集団活動の経験を通して,ひとりひとりの人格のひずみを治療し,さまざまな習慣・能力・態度などの統合を促進することである。
ウ →それぞれの発達段階に応じた学校教育の課題からくる表現の差で本質は同じである。
・ 自主性,協同性,実践活動能力をさしている。
<2> 特別活動の指導の本質
○ 自主的活動の指導
○ 集団活動の指導
・集団活動は,特別活動の基盤となる活動であり,集団活動の指導は,生徒指導の集団指導の原理と方法をふまえてすすめられるべきである。
・活発な集団活動の条件
ア.集民の目標を明確にすること。
イ.目標達成への自覚をもたせることす。
ウ.児童・生徒の自発的要求を尊重すること。
エ.役割と責任を自覚させること。
オ.自由な相互交渉を助長すること。
○ 実践活動の指導
・集団活動を通して育てられる自主性や協同性は,実際の活動経験を通して身につき深められる。また,このこととともに,実際的な技能や活動(計画のたてかた,集団を組織したり役割を分担したりするしかた,話し合いのしかたなど)のたくみさを得させるようにもしなければならない。
・実践活動を促すための条件
ア.実際の生活に生かす実践活動であること。
イ.自発的,自治的な実践活動を促進すること。
※ 自治的な実践活動は,児童・生徒の人格を尊重し,その自己形成カを信頼した教育活動であるが,周到に指導されてこそ意味があり,児童・生徒の発達段階に即して自治の範囲を拡大するとともに,責任体制を強化していくようにすべきである。
ウ.発達段階に即する実践活動であること。
3.特別活動講座の充実をめざして
特別活動の指導の充実は,実際の指導の場面からほりおこされた問題を解決するための意欲的な実践に支えられなければならない。
したがって,本講座においても,研修内容及び研修形態を実際の問題に密着したものとする方向での充実・発展を意図している。
特に,講座参加の譜先生方の反省記録を尊重するとともに,特別活動の研究の情報を効果的に伝達するようにつとめるつもりである。
豊かな人間性は,望ましい人間関係のもとで育てられるという原理をふまえて,ひとりひとりの児童・生徒のために共々に努力したいものである。