福島県教育センター所報ふくしま No.28(S51/1976.10) -015/026page
2.仮 説
(1) 仮説のための理論
文章題は線分図や数直線,情景図,表,グラフなどで表現すればやさしくもかけるであろう。しかし,そこには演算のしかたが表現されておらず,問題の構造を十分に表現しているとはいえない。このことは線分図や数直線などによる表現が問題構造の表記として完全な形のものとはいわれない。
構造図 : 文章題を3つの基本要素に分析し,その要素間を矢印で結び演算記号を入れて全体の数量相互の関係を一見してわかるように組み立てた図をいう。
(2) 仮 説
文章題の解決において,構造図を用いて指導するならば,文章題を解く能力をよりのばすことができる。
8.研 究 計 画
(1) 方 法 2群法による
(2) 対 象 5年1組 20名
(3) 組 織 個人研究
(4) 日 程
6月 実態は握,研究主題の設定,研究計画の立案,理論的仮説の設定
7月 文献研究
8月〜9月 事前テスト,検証計画の設定
9月〜10月 検証授業,事後テスト
11月〜12月 データの処理と仮説の検定
12月〜1月 研究のまとめ
4.概要と考察
(1) 経 過
1 実験群と統制群の編制について
学級の実態をとらえるために教研式診断的学力検査(算数)を実施した。その結果の学力偏差値をもとにして,表4に示すように学級を実験群と統制群に分けた。
学習形態としては,両群にプログラム学習を取り入れて,同一問題を実験群には構造図による文章題の解決方法を,統制群には線分図による文章題の解決方法を指導した。そして,その結果にどのようなちがいがあるかを検定しようとするものである。
表4 実験群と統制群の編制
実験群児童No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 算数学力偏差値 65 55 54 54 50 52 51 45 41 37 統制群児童No. 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 算数学力偏差値 58 55 54 51 50 52 49 48 43 42 2 検定方法
仮説の検定は,2標本順位検定による
3 検証授業
単元名 問題の考えかた (1)
単元の目標 (略)
指導計画,ねらい(6時間)
(ア) 未知の数量をXで表わし,数量の関係を式に表現し,逆算によってこれを処理する方法の理解(1/6)
(イ)題意に即して立式し未知数Xをもとめる(2/6)
(ウ) 2段階以上の問題をXを使った式に表わしての問題 (a+X)×b=C の型(3/6)
(エ) 2段階以上の問題をXを使った式に表わしての問題解決(X十a)×b=C(4/6)本時 (オ) 2段階の問題をXを使った式に表わしての問題解決 a×X÷b=C (5/6)
(カ) 事後テスト
指導過程 (45分)
段階
指導内容
学習活動
指導上の留意点
実験群
統制群
導入
(もとのねだん)+(ね上げ分)=新しいねだん (単位量)×(単位量のいくつ分)=(全体の量)
○もとのねだん,ね上げ分,新しいねだんの関係を線分図と構造図で調べ式に表わす。 ○20円のたまご3個分の代金,4個分の代金,5個分の代金について調べ「ことばの式」にかき表わす。
○もとのねだん,ね上げ分,新しいねだんの関係を全員に具体的に理解させる。