福島県教育センター所報ふくしま No.28(S51/1976.10) -018/026page

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く教育研究法講座研究報告>

数学科の指導過程における小集団思考の位置づけ

−三平方の定理を中心にして−

郡山市立郡山第六中学校 吉 成 公 彦

1 研究の趣旨

(1) 研究の動機

 本校の生徒は,図形領域について初めから毛嫌いを示す傾向がある。これでは数学のもつ論理性,考える楽しさ,問題を解くよろこびなどを学習の中に求めようもない。

 “証明”を扱う内容になると特に“もうだめだ”という意識が先に立ち,学習姿勢が後ろ向きになってしまう。したがって,見通す能力や論理的に考察する能力などを伸ばすといった図形教材の目標を達成することは非常に困難なものになってしまう。

図形教材に対する抵抗感の原因はいろいろあると思われるが,これを方法的に解決していく手だてをグループ学習に求めてみた。

<意 識 調 査> 表T
1(丸囲み数字) 数学は好きか…………………−0.09
2(丸囲み数字) 図形への取り組み……………−0.19
3(丸囲み数字) 定理等への取り組み…………−0.14
4(丸囲み数字) 授業の進み方は………………−0.22
点数は質問項目の回答に2点〜−2点を与え,その平均点
     調査月日  51.6.15
     調査対象  3年3組〜7組
     調査人員 198名

(2) 研究のねらい

 授業の中にグループ学習を位置づけることによって,協力学習を通して学習に対する消極的な姿勢が積極的な姿勢に変容することの可能性を期待し,より楽しく,より効果的に,また,自主的に学習が進むものと考える。

(3)生徒の実態と問題点

<標準学力テスト(教研式)> 表2

領域

男子

女子

全体

数・式

56.7 55.2 56.0

関数

54.9 53.4 54.3

確率

47.2 46.1 46.6

図形

42.8 46.2 44.5

全領域

50.8 50.3 50.6

(実施年月日 49.3.16   調査対象  2年生全員)

 ○ 検査の結果から,図形領域で最もおちこみが大きい。その原因として考えられることは,

  1 図形領域が問題の最後に配列されていた。

  2 表1の2(丸囲み数字),3(丸囲み数字)みられる実態

  3 特に男子のおちこみが大きい。

 図形領城での成績の男女の有意差を見る。

  T検定 T。=3.92<T=4.15

  F検定 F。=1.26<F=1.27

 共に,危険率5%で有意差が認められる。

 検定の結果,あきらかに女子が男子より良い。それは男子の中・下位層に“図形は〜”また“証明は〜”といった考えの者が多いことによると思える。(女子より男子の分散が大きいことによる。)

 2 仮 説

(2) 仮説のための理論

 「分析的授業モデル」P.60,クルークマンの.実験結果を見る。それは数学の問題を2人ペアー,1人だけの場合に分けて解かせた実験で,その結果,2人ペアーの方は問題解決までに多くの時間を要するが学習効果は高まる,となっている。そこで本校の地域性や実態に,このクルークマンの実験結果があてはまるかを検証して指導法の改善をはかりたいと考えた。

(2)仮 説 問題解決場面において2人ペアーの小集団思考をさ せれげ,学習効果は高まるであろう。

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