福島県教育センター所報ふくしま No.30(S52/1977.2) -008/025page
S−P表の活用
―授業分析・個人診断に―
研究相談部 金 田 充 夫
1.はじめに
S−P表,これはStudent−Problemの頭文字で,テスト結果から得た得点一覧表である。
今まで,私たちは,テスト処理などにおいて,問題を同等にみていたことにより,質的なものや,内容の違いによって分析や評価をしていこうとする態度がややもすると欠ける傾向はなかっただろうか。同得点即同学力水準の判断には難がないものかどうか。
このようなことに対処するものとして,以前から尺度解析法(スケローグラム)が利用されていたが,S−P表は次の点から実践上の活用面が広い。
・ 問題の質の軽重が明らかになる。
・ 処理分析が簡単である。
・ 内容別の理解の度合いが明らかになり,指導計画の修正はもちろんのこと,学習者わ理解のつまづきや検討が容易である。
・ 学級全体,あるいは個人の学習事項に対する全体的な状況がとらえやすい。
・ 統計的分析とともに質的にも分析することが可能である。
・ 授業分析,個人診断の有効な手段である。
2.S−P表の作成
毎授業時でのドリル,練習問題,プレテスト,ポストテスト 単元テスト等の反応結果に対し,正答には1,誤答には0の得点を与え,小問ごとの得点一覧表をつくる。このとき,無答も0として取扱うが,誤答と無答は質的にもかなり異なるので以後の分析のためにも何らかの別表示をしておくことが効果的である。
次に,縦方向の上から合計得点の高い児童の順にならべ,横方向の左から正答率の高い小問の順にならべかえる。このとき,複写機を利用して,ならべかえをすると極めて能率的である。(表1 表2)
この集計表はテストを回収し,採点してつくることもできるが小学三年生以上であれば,児童に模範解答を示して,各自あるいは二人組になって採点させ,集計表に転記させて回収する方法がよい。
表1は小学4年「いろいろな問題のとき方」における単元テストの一部で,テストの反応結果を自己採点させ集計表に転記させたもので,破線下部を切取って提出させる。表2が提出された集計表を合計得点の高い順にならべたものである。同得点者B子,A夫,D夫については各々の児童の反応のうち,正答1に対応する問題の正答者数を合計して,合計の多い順にならべる。
B子 9+7+6+6+6+7=41
D夫 9+7+5+6+6+3=36
A子 9+7+5十6+6+7=40
計算の結果,8子,A夫,D夫の順となる。F夫,G子の場合であれば,二人とも同じ値なので順序は,どちらでもよいということになる。
次に表2を小問ごとに切りとり左から正答率の高い順にならべかえて,はりつけたもものが表3である。