福島県教育センター所報ふくしま No.30(S52/1977.2) -014/026page
いては改善の必要がある。
(3)調査結果の分析
学年主任の考え方と,それを支える学級担任の考え方は同じ方向に向っており,学年中心の研究組織で研究を推進していけば,効果をあげることができると考えている。しかし次のような問題点が指摘される。
1 研究主題についての共通理解が不十分である。
2 課題委員会の指導性が弱体化している。
3 教科研究部の活動が十分でない。
4 職員間新聞は研究推進についての解説に改善が必要である。
(4)対策
以上の問題点について,次のような対策を考え実践する。
1- 職員間新聞を活用し,課題委員会の討議内容や,校内授業研究のねらいや成果について,その都度解説し確認する。さらに研究主題の設定については,原点に立ちかえり反復して問題点をとりあげ解説する。研究推進の日程を明示し効果的に研究が進められるようにする。
2- 課題委員会,学年主任会の合同会を持ち,研究主題の設定について共通理解をどのようにはかるか検討し,12月の第二学期反省会の折に,検討した内容を印刷物にし,教務主任を中心に全員で討議し共通理解をはかる。
3- 授業の組みたてについて理論づけをし,本校の研究主題の授業での具現化をはかる。
これらの対策を行った後に第二次調査を行い研究に対する意識の高まりについてまとめる。
(5)ニ次調査
1 期日 12月
2 対象 本校職員23名
3 方法 自由記述法
・ 次の項目ごとに自分の考えをおかきください。
ア 本校の研究主題「学習意欲を育てる授業の組織」の設定について,広く将来の展望にたちながら,本校の伝統と児童の実態をふまえ,本校教育をさらに向上させるために,教育の原点にたちかえり設定されたが,あなたにとって研究を進める上で必要性の高いものになっていますか。
(ア) 本校の研究はその当初において,他の先進枚の研究方法を巧みにとり入れながら独自の追究学習を生みだしていった経過については,先輩の業績を高く評価したい。ただ研究内容において本校の児童の実態をどのような方法でとらえ,その分析の上にたって研究にどうとり入れたのかという点について疑問がのこる。 (2名)
(イ) 教師は専門職であるという原点にたちかえる必要性を痛感している。そういうことが基盤になければどんな研究主題をもうけても深まりを求めることができないであろう。 (4名)
(ウ) 「学習意欲を育てる」ということは,学校教育の基本的問題であるので,当然そこにくるテーマであると考える。本校の場合,教科ごとにサブテーマを設定し,目標が明確であり必要性の高いものになっている。 (6名)
(エ) 自分の研究を進める上で必要性は高い,テーマの価値を知り,必要性を感じているが,テーマの受けとめ方が自分の主観によるものであり,仮説もしっかりしていない点もあるので,その価値や必要性の質を自分でおとしてしまっているような気がする。 (1名)
イ 「学習意欲を引きだすために学習の仕方を学ばせる」その手だてとして「集団の中の個人の育成」を算数科,国語科を窓口にして学年中心の組織で研究してきたが,今後改善するとすればどんな点ですか。
(ア) 基本的な学習訓練は子ども一人一人に身についてきていると思う。主体的な追究学習を進める条件として「ひとり学習」ができる状態になるまで,子どもを高める必要がある。 (2名)
(イ) 学年中心の研究組織は大いに結構である。しかし,指導計画の協議に多大の時間が費やされるが,その事後処理がお粗末であり,教室で静かに指導結果を処理する時間がほしい。 (4名)
(ウ) 「考えを引きだす」のは大いに結構だが,話し合いに終ったり,判断の無いままに終ったりしている面もある。引きだす学習でも教えることはしっかり教えていきたい。 (4名)
(エ) 「集団の中における個人の育成」は公教育でなければできないことであるが,これが最良といわれるものがないのではないか,要するに教材の内容と常においていろいろな方法があるので,今後は授業の記録をたんねんに残していきたい。 (2名)
ウ 学年中心の教材研究の中で「教師の個性化と協力化の調和的統一」がなされ研究意欲がわき,効果があったと思うが,さらに改善したい点がありますか。
(ア) 大規模校における研究のあり方として,学年がその中核になって実践研究を進める方法時適切であると思う。しかし,その結果として「教師の個性化と協力化の調和的統一」には疑問がある。(4名)
(イ) 教師はどんな小さなことにも感動し,それを指導過程の中に位置づけて生かしていく鋭い感覚が必要である。それだけに個性的に生きていく自由は尊重されなければならない。思うことが何でも言える学年会,そして学校,しかも感情的にならず,理性と強いヒューマニズムに支えられた人間関係が必要である。「ふれ合いの時間は対児童よりも,教師間により必要であり,それが子どもの学習意欲につなが