福島県教育センター所報ふくしま No.30(S52/1977.2) -021/026page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

<研究実践校紹介>

ひとりひとりの能力・通性を伸ばし自己実現をめぎす生徒指導

いわき市立平第二中学校 校長 広 田 徳 一

1 研究主題

「ひとりひとりの能力・適性を伸ばし,自己実現をめざす生徒指導」 (4年次)

 ・ 本年度副主題―学び方学習の育成―

2 はじめに

 1.地域の実態

 本校は,いわき市の中心に位置し,都市部にみられる一般的傾向として,進学率が100%に近く,保護者の進学に対する関心は非常に高い。このためか,過度の競争にともない,生徒の能力・適性の発見・伸長及び連帯意識など,豊かな人間形成を疎外している教育問題を多くふくんでいる。

写真1

 2.生徒の実態

 調査の結果から一般的な傾向をいくつかひろってみると,

 (1)サラリーマン家庭が多く,自己本位的な考え方が強い。

 (2)共稼ぎ家庭が多く,家庭不適応生徒,情緒不安定な生徒が比較的多い。

 (3)生徒は素直でおとなしい反面,自主性に乏しく依存的である。

 (4)物事を根気強くやりとおす気力に乏しい。

 (5)奉仕的な勤労意欲に乏しい。

 (6)学力検査の結果,偏差値は高く,また理解度も高いが,授業での発表カ,協力性に欠ける。

 等々,ここに改めて,生徒指導の本質をみきわめ的確な生徒理解を基盤としながら,自分のカで生きぬこうとする,個性的な,しかも,自主的に学びとろうとする生徒の育成こそ課題であると考えこの主題を設定し,実践研究にとりくんでいる。

 3.学校の実態

 生徒数 688名 1年 6学級

 教職員 33名 2年 6学級

        3年 5学級

昭和48,49年の2年間,文部省・県教育委員会から生徒指導の研究学校として指定され実践研究を積みその実践の上にたって更に昨年から上記のような副主題のもとに研究にとりくんでいる。

3 研究の基調

 1.人間はだれもが自己実現の意欲をもっているといわれる。それは,自分のもつ能力を発揮することの喜び,内的充実感への欲求があるからだ,ともいわれる。われわれもこの考え方にたち,自己実現をめざす指導を教育のあらゆる場面を通し実践することにした。

 2.この自己実現の中核をなすのが,「自分から学ぷ」―自主―ということであると考え,その自主性に富んだ生徒像として,本校では,次のようにとらえている。

 (1)自分で考え,計画をたてることのできる生徒

 (2)自分からすすんで仕事をする生徒

 (3)自分のカでやりぬくことのできる生徒

 (4)正しいことをはっきり主張できる生徒

 (5)他人の意見に,みだりに左右されない生徒

 (6)自信をもって行動できる生徒

これらの行動が,学校・家庭及び社会生活のあらゆる場面で発揮されるための動機づけがこの研究の中心課題であると考えた。以下これらの考え方を基調とした実践のいくつかを述べてみることにする。

4 各研究部の実践

 1.学級経営研究部

(1)研究のねらい

  1 生活グループを通し,学級成員の心の交流を深め,ひとりひとりが, 居がい のある学級づくりをする。

  2 生活ノートによって家庭・教師及び本人との連けいの中で援助を深め,自己の目標達成への


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。