福島県教育センター所報ふくしま No.31(S52/1977.6) -006/033page
実験3 分散作用
1)試料 綿ブロード,カーボンブラックO.2%洗剤溶液,水
2)用具 マグミックス・スターラー,ビーカースターラー・ピース
3)方法
1.洗剤溶液および水を200tずつビーカーに入れる。
2.カーボンブラックをO.1%添加し,スターラーで1分間かくはんする。(ガラス棒でかくはんしてもよい)カーボンブラックの分散状態を比較する。
3.これに綿布を浸漬してカーボンブラックの布への付着のされやすさをしらべる。
4)結果と考察水の方はカーボンブラックが表面にかたまって浮いてきて水が澄んでみえる。布を浸すとカーボンブラックがついてくる。
(写真2の左)
洗剤溶液の方は,界面活性剤がカーボンブラックの粒子に付着して表面を親水化するため水に分散する。分散したカーボンブラックは洗剤分子に包み込まれているため布に付着しない。
(写真2の右)
洗剤溶液がよごれの分散,布への再汚染防止の役目をしている。洗浄作用の第3段階である。最後は乳化・分散しているのを水で流すことになる。(2)人工汚染布の作り方
洗浄の諸条件が洗浄効果に与える彰響を,定量的に,かつ,能率的に知るため,洗浄試験に必要な人工汚染布の作り方を理解する。(教師の資料作成のためのもの)
1)試料 綿布(かなきん)10×16p裁断する。
カーボンブラツク0.5〜O.8(玉川圧縮C級カーボン),牛脂1g,局法流動パラフィン3g,四塩化炭素800g〜1.000g
2)器具 バット(25×20p),ピンセット,乳鉢,乳棒,ストップウオッチ,ビーカー,秤
3)方法
1.カーボンブラックを乳鉢でよくすリつぷし,流動パラフィンを加え更によくする。(15分間)
2.牛脂は四塩化炭素の一部にとかしておく。1.のカーボンブラックに入れよくまぜて残りの四塩化炭素と混合する。
3.バットにこの汚染液をうつし,ピンセットで布を15秒ごと4回裏がえして合計60秒間浸漬する。汚染後は風通しのよいところで乾燥する。四塩化炭素を手につけないように注意する。
4.反射率を測定する。
4)結果
汚染布がむらなくできたか,反射率30±2%のものを標準汚染布としているが何枚得られたかしらべる。各種の繊維を汚染し,その汚染性を比較するのに用いてもよい。
(3)洗たくに関する実験
実験1 洗剤濃度と洗浄力との関係
洗剤濃度をかえて洗たくし,洗浄布の反射率を測定し洗浄効率のよい洗剤濃度を知らせる資料とする。
1)試料 人工汚梁布を(2)によって作成,洗剤
2)機器 ターゴトメーター,反射率計
3)方法
1.人工汚染布の反射率を測っておく。
2. 洗ぴんに各洗剤溶液を用意する。(水500t)
O.1%:0.5g 0.15%:O.75g
0,167%:0.835g 0.2%:1g
0.3%:1.5g
3.1分間かくはんし,洗剤を溶解させる。
4.人工汚染布(10×16p)3枚を入れて,ターゴトメーターで10分間洗たくする。
5. 洗浄布を取り出してしぼり,洗液はすてる。
6. 水道水500tと洗浄布を洗ぴんに入れターゴトメーターで5分間すすぐ
7. 洗浄布の反射率を測定し,下式から洗浄効率を算出する。洗浄効率=(洗浄布の反射率-汚染布の反射率)/(原布の反射率-汚染布の反射率)×100
4)結果と考察
洗浄効率はO.1%では45.7%,0.167%で76.6%,O.3%で79.0%である。図2でみられるように0.1%からO.167%の洗浄効率は急上昇をしているが,0.167%から0.3%と濃度を高くしてもその効率の差はごくわずかである。濃度が高ければ効率がよいというものではなく,品質表示に示されている標準使用量の範囲で使用するのがよいことを理解させる。