福島県教育センター所報ふくしま No.31(S52/1977.6) -007/033page
実験2 洗たく時間と洗浄との関係
洗たく時間による洗浄布の反射率を測定し,洗浄効率のよい時間を知らせる資料とする。
1)試料 人工汚染布(2)により作成,洗剤
2)機器 電気せんたく機,反射率計
3)方法
1. 人工汚染布の反射率を測つておく。
2. 台布に人工汚染布10×16pを4枚ずつ縫いつける。
3. 基礎実験条件
液量:実験に使用する洗たく機の標準水量
浴比:実験に使用する洗たく機の定格容量
洗剤濃度:品質表示に示されている標準使用量
洗たく時間:2分,5分,10分,20分
4. 人工汚染布を縫いつけた台布4枚及び調整布を
入れ所定の時間洗たくする。
時間ごと(2分,5分,10分,20分)に台布を1枚ずつとり出す。
5. 1分間脱水し5分間すすぐ。
6. 1分間脱水後,洗浄布を台布からとりはずしアイロンを
かける。
7. 洗浄布の反射率を測定し,(2)と同様に洗浄効率
を算出する。
4)繕果と考察
第3図 洗たく時間と洗浄力
写真5 洗たく時間と洗浄力
2分間洗浄では42.6%,5分間で68.4%,10分間で80%と時間とともに洗浄効率が上昇しているが,20分間では83・8%である。10分間との差ほ3.8%とわずかである。普通のよごれは10分間が適当である
実験3 下洗いの効果
各繊維の汚染布を用いて下洗い,下洗いと本洗い,本洗いと3種の洗たくを行ない,洗浄布の反射率を測定し,各繊維ごとの下洗いの効果をしらべる。
1)試料 人工汚染布(綿,レーヨン,ポリエステル,ナイロン),洗剤
2)機器 電気洗たく機,反射率計
3)方法
1. 人工汚染布の反射率を測っておく。
2. 補助布(90×90p)のところどころに各繊維の
汚染布(10×16p)をそれぞれ2枚ずつ取りつける。
3. 基礎実験条件
液量,浴比,洗剤濃度は実験2に同じ
4. 洗たく機により洗浄して各繊維汚染布の洗浄効
率を比較する。
(ア)1.下洗いは水で5分間
洗った後,水の汚れ具合を観察し,各汚染布
をそれぞれ1枚ずつとり乾燥させる。
残りの1枚は補助布にとりつけたまま本洗いする。
2. 本洗い 洗剤溶液(晶質表示に示されて
いる標準使用量)で10分間洗う。あとすすぎ2
回,各繊維汚染布をとり外し、補助布を別々に
乾燥する。
(イ)1. 洗剤溶液で10分間洗い,すすぎ2回各繊
維汚染布をとり出し,補助布と別々に乾燥する
2.(ア)の1.,2.の汚染布と反射率を比較して
繊維ごとに下洗いの効果をしらべる。
4)結果と考察
綿・レーヨンは下洗い十本洗いの方が本洗いだけよりも反射率が高い。
ポリエステルは下洗い十本洗いが49.4%,本洗いだけの方が59.9%と高くなってている。ナイロンも同じ傾向である。図4
ポリエステル,ナイロンは汚れた液につけておくと再汚染されやすいためであり,これらの繊維は下洗いしてはいけないことを理解させたい。
3.おわりに
洗浄作用の基本要素などは生徒が実験を通して引き出すぐらいが望ましい。洗浄カ試験は先生方が洗たくの理論の際に洗剤濃度,洗たく時間,再汚染防止について数字を示される時,それがどのような実験により出されたものであるかの裏づけとして利用されるとよいと思う。
指導の際,実験,図表,実物標本によつて印象深く生徒の心に残してやれば,洗たくと日常とのかかわり合いを正しく理解し,品質表示など細かい点にも注意して適切た方法で洗たくができるとともに,その中から,自分なりに創意くふうした行動が生れてくると恩われる。
参考文献
中学校技術・家庭科研究の手びき,被服・食物編文部省
被服整理学・染色学 矢部章彦・林雅子共著