福島県教育センター所報ふくしま No.31(S52/1977.6) -009/033page
2 レディネス調査についての考察
(1)レディネス調査を実施した学校は,表1にみられるごとく小・中学校とも県全体の30%程度となっている。A,B,Cの地区別にみても特に差はない。
(2)表2はレディネステストを実施した先生方の人数である。この人数は「1回以上実施した」という意味であり,1回でも1人,10回実施しても1人という数字になる。小学校18%,中学校9%である。小・中学校とも地区別にはほとんど差はないが,C地区の中学校がやや低かった。
(3)表1と表2の関連をみると,レディネステスト実施校の割合に比して,実施した先生方の割合が少ない。このことは,レディネステストを行った先生は1人で何回も実施しているということであり,多くの先生方が実施しているのではなく,レディネステストを実施しているのほ限られた先生方であるということになる。
(4)表1と表2から,小学校に比して中学校の割合が少ないが,その原因として,中学校は高校入試,対外的行事等が多いので時聞的なゆとりがないためであろう。特に小規模校の中学校にそのことがいわれる。また,中学校は小学校に比して教科として受持つ生徒数が多く,調査等の量も多くなり,時間的な余裕がとれないことなどが考えられるであろう。
(5)表3,表4はレディネス調査をした教科別集計であるが,小・中学校とも,算数・数学がそれぞれ102校,35校と一位を占めている。このことは,算数,数学は系統性の強い教科であること,従ってステップを踏んだ指導または学習が必要なこと,ステップを踏むことによって学習の効果が顕著に高まること,また系統性の強い教科であるため授業中のつまづきを,次の学習時にまで治療しておかないとその後の学習が困難になること,などがその理由として考えられる。
(6)表5,表6から補教をしないと答えた人は小学教で15%,中学校で23%となっているが,この数宇は,補教をとりたてては行わないということであって,実際にはレディネステストの結果を授業の中で生かしながら指導しているのであろう。なぜなら,補教をしてこそレディネステスト実施の意味があるのであって,レディネステストを実施したということは,何らかの方法で補教をしているはずである。
(7)表7,表8は補教を行う時間の集計であるが,小・中学校とも38%,30%と放課後が一番多い。次に多いのが「朝自習と放課後」「朝自習」「昼休み」の順になり,「授業と授業の間」「その他」は小・中学校で逆になっている。
補教の時間として小・中学校ともに放課後が一番多いということは各学校の実態であり,実態であるだけに多くの問題があるように思われる。たとえぱ,学校で教師や児童生徒が比較的自由になる時間は放課後である。と同時に放課後の時間こそ教師にとっては事務整理,成績の評価,テスト作成,教材研究と最も多忙な時間であり,また貴重た時間である。従って,放課後に研究会,打ち合わせ等によって割かれれば,当然補教はできなくなる。してみると「補教しない」という数字は「補教できない」という数がかなり入っているともいえる。
3 〔事前テスト及び事後テストの調査について〕
質 問 あなたの学校で昨年度
ア 事前テスト
イ 授業の有効度測定
ウ は持率
の測定をされた先生はそれぞれなん人
ありますか
(注)「は持率」の意味不明ですが原文のまま記載<結果の集計及び考察>
表9
学校\テスト 3テスト
実施有効度
測定は持率
測定事前
テスト小学校 61校 98校 83校 247校 238人 939人 412人 1,654人 中学校 34校 50校 51校 119校 120人 181人 213人 811人 質問項目にあげてある各テストバッテリーは次のようになる。
・事前テスト…レディネステストと事前テスト
・授業の有効度測定…事前テストと事後テスト
・は持率…事後テストと追テスト
3テスト実施とは,対になっている各テストを3種類とも行ったことをいう。
集計作業に際しては,以上の条件を満たしている回答のみを採り,事前テストを実施しないで有効度を測定したとか,事後テストなしでは持率を測定したとかというケースの回答は集計から省いた。レディネステストまたは事前テスト…事後テスト→有効度測定→は持テスト→は持率測定の一連の作業は,授業効果を高めその効果を科学的に,客観的に認知するために必要な評価活動である。
表9にみられるごとく,3テストを実施した学校は小・中学校とも15%程度の数字を示している。