福島県教育センター所報ふくしま No.32(S52/1977.8) -014/033page
で十分身につけるようにすべきである。例えば,「木」を含む漢字は,各学年にわたり次のようにでている。
表2
木を含む漢字
木 1上 本 1上 森 1下 校 1下 村 1下 東 2上 楽 2下 来 2下 橋 3上 横 3上 柱 3上 板 3上 植 3上 根 3上 業 3上 様 3上 林 3上 案 4上 栄 4上 松 4上 械 4上 榎 4上 末 4下 材 4下 極 4下 株 5上 柏 5上 査 5上 未 5上 果 5上 条 5上 検 5下 格 5下 権 6上 樹 6上 枚 6上 模 6上 棒 6上 机 6下 染 6下 休 1下 新 2上 親 2下 集 3上 禁 5下 歴 4上これをみると,「木」を教ておくことによって「木」を含む漢字の意味のとらえ方の指導や,書く指導に役立てることができるわけである。同様のことが部首となる漢字についていえることであり,一年提出の,月,王,子,糸,女,人,足,土 など,しっかりと身につけさせたいものである。この観点から,カタカナの習得も漢字指導のための基礎となるものである。
(二)かずと かんじ
これは,一から十までの漢字を提出し,その読み書きを理解させることを主なねらいとしている。また,いろがみ,りんご 水などのかぞえ方をさせることによって漢字の定着をはかろうとしている。いろいろなもののかぞえ方を考え出させ,おもしろく漢字の練習をさせるようにしたいものである。
なお,1年の指導事項「文の中で漢字を適切に使う」ようにするためには,漢字の読み書きができるだけでなく,意味をよくとらえさせることや,他の語とのかかわり,文としてのまとまり,などに目を向けさせる必要がある。いくつか例をあげてみよう。
・具体的な使い方を提示し,よい使い方を理解させる。
(1)にわの 木が おおきく なった。
(2)きょうは てん木が よい。
(3)すぎの 木の えだに とりが とまっている。
(4)あたたかくて 木もちが よい。
正しい使い方はどれか考えさせる。そして,なぜ正しいか,なぜまちがいかはっきりさせることが指導のポイントである。・まちがいさがしドリル
例 きのうは とても あつい 火だった。
・学習した漢字を与えて文をつくらせる。
「花・町」を使って文を作らせる。
例 町かどに 花やさんが あります。漢字を1〜3字ぐらいにして,漢字に慣れ親しませることを中心に無理のない指導をすることである。
・ひらがな文を漢字仮名まじり文にする。
以上,1年生の漢字教材の指導では,漢字に興味を持たせること,漢字の表意性に気づかせることなどを大事にすることである。
(2)2年
2年の指導事項は,次の二つである。
・1年及び2年に配当されている漢字のうち220字ぐらいを読み,その大体を書くこと。
・学習した漢字を文や文章の中で進んで使うようにすること。2年では1年での学習を引き継ぎ,増加した漢字の習得と,「漢字を文や文章の中で進んで使う」ようにすることがねらいである。
2年の漢字教材は「ことばのまど4」にでている。
・同じなかまになるかん字 ・はんたいのいみのかん字・かん字あつめ,(部首による)・形のにているかん字に気をつけること。ここでは,学習のしかたをよくわからせることが必要である。そして,練習のノートを持たせて,子どもたちが,上記の例のみでなく類似のものをとりあげて進んで漢字に親しむようにさせることである。
また,漢字学習の順序は次のようにするとよい。
(1)漢字をよく見る。
(2)部分にわける。(構造的に漢字を見る)
(3)読み(音・訓の読みができるようにする)
(4)意味をとらえる。
(5)筆順を知る。(部分の組み合わせとして覚える)
(6)書く
(7)誤宇・誤用に気をつける。
(8)練習(文・文章の中で)(3)3年
この学年の漢字に関する指導事項は,
・1年から3年までに配当されている漢字のうち410ぐらいを読み,その大体を書くこと。
・学習した漢字を文章の中で正しく使うようにすること
である。漢字の使用能力について,1年では文の中で適切に使うこと,2年では文や文章の中で進んで使うこと,そして,3年では文章の中で正しく使うことを取りあげている。このためには,文・文章の視写の重視,漢字の使い方の練習の機会を多くすることが考えられなければならない。
さて,教科書の漢字教材には,3の上に,「言葉のまど3,漢字と送りがな」がある。ここでは,漢字の音と訓,漢字と送りがな,活用する語などについて提示されている。漢字への関心を増すこと,送りがなの理解,活用についての初歩的な意識を持つことをねらっている。
ここでも,類似の課題を取り上げて,練習範囲や練習量を広げるよう配慮すべきであろう。つぎに,3の下には,「漢字の話」という本格的な漢字教材が用意されている。そして,(1)漢字使用による文章のよみやすさ (2)漢字の表意性 (3)漢字の成り立ち,(4)部首について,説明されている。この教材は,1年の象形中心の教材を更に進めて,系統的に漢字そのものについての知識を得ることができるよう計画されている。