福島県教育センター所報ふくしま No.32(S52/1977.8) -016/033page

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自主的な学習習慣を形成するための指導

−学級指導を通して−

福島市立北信中学校 佐 藤 友 紀

1. 研究の趣旨

(1) 研究の動機とねらい

 現在の教育においては,生徒の個性を尊重し,それを伸長するとともに,それぞれの自主性を育成する教育活動が重視されている。そこで,日々の実践においても個人差に応ずる指導をすすめ,学力の向上を図るとともに自主的学習習慣の確立をめざして努カしてきた。

 しかし,学級の生徒の実態をみると,受身の学習態度が目立ち,自らの必要感や自分の問題点に対して,積極的な態度で学習に取り組むことがなかなかできない傾向にある。

 自主性や自発性の芽は,生徒の内面に内在しているものではあるが,それを覚醒させる刺激や環境条件なしにはこうした態度が形成されるものではない。

 また,できるだけ心理学的手法によって生徒理解を深めたうえで,ひとりひとりの生徒に即した具体的な指導をすすめることも重要であろう。

 そこで,自主的態度の伸長,習慣化を阻害している要因を正しくとらえ,それを基にして指導をすすめれば,どの生徒にも能力に応じた学習をすすめるための態度や習慣が形成されるだろうと考え,このようなテーマを設定した。

(2) 問題点

 日常の生活態度や学習態度からみて,自主的学習習慣が身についていないと観察していたが,意識調査,ESHI(能率的学習法診断検査,目本文化科学杜)により個々に明確となり,指導上の対策が必要となった。

表1 意識調査(学級の実態) 3年5組 36名
質問 結果 人数
1. 自分からすすんで学習することができますか。 はい 5 14
ときどき 17 47
いいえ 14 39
2. 学校で自主的に学習しようとするとき,阻害するものがありますか。 ある 16 44
ときどき 18 50
ない 2 6
3. 家庭で自主的に学習しようとするとき,阻害するものがありますか。 ある 8 22
ときどき 15 42
ない 13 36
4. 知能に応じた学力があると思いますか はい 10 28
まあまあ 11 30
ない 15 42
5. 学習について悩みがありますか。 ある 26 72
ときどき 5 14
ない 5 14

(3) 原因

(1) 何をやるのか,何のためにやるのか,見通しがつかない。どうしてやればいいのか,など,いっこうにはっきりしないままの学習を繰り返しているうちに,無気力な,そして努カを放棄する態度が形成されていくのかも知れない。

(2) 目標をどんな方法で達成するのかが明確にとらえられていない。

(3) 自主的学習習慣を形成する指導の中で,生徒理解が皮想的であった。

(4) 学習不適応の要因(阻害要因)を個人毎に正しく分析,検討し,それを治療するような指導面が欠けていた。

2. 仮説

(1) 仮説のための理論

 現在の中学校は能カ・適性などについての多様な問題をかかえており,いろいろな配慮に基づいて,生徒ひとりひとりの能力・適性などの伸長をめざして指導しなければならたい。その主たる内容は,学業上の不適応の解消,学習意欲の高揚,望ましい学習習慣の形成である。(中学校特別活動事典,飯田芳郎編,第一法規)


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