福島県教育センター所報ふくしま No.32(S52/1977.8) -026/033page
の発的要求が尊重され,民主的な話し合いによって決定されるとともに,与えられた範囲内での役割遂行の責任を果たさせることによって,それぞれに満足感を覚えさせ,それぞれの発達カが促されるようにする必要がある。
工. 集団活動を通して,個性的理解としての相互理解と個性尊重としての相互尊重が促されるとともに,それらをもとにして相互作用が活発化(社会的学習の深まり)し,それぞれの個性の伸長が図られながら,集団としてまとまりのある活動が展開されるようにする必要がある。
オ. 集団活動は,成員によって的確に評価され,それに基いて絶えず改善が図られるようにするとともに,外に対して開かれたものとして,他からの批判や指導にも耳を傾け,自分達の集団の成熟を図ることにつとめながら,他の集団の成熟のための刺激となって貢献できるようにさせる必要がある。
(2) 集団活動としての自主的活動を育てるための指導助言の条件
ア. 学校の指導計画(生徒指導全体計画や特別活動全体計画)の中に指導助言の基本方針を設定する。
イ. 教師の受容的態度を基調として,教師への児童生徒の信頼感を確立する。
ウ. 自治的活動の範囲を明確にしておく。
工. 高い立場と広い視野にたった指導助言をする。
オ. 児童生徒の発達段階にふさわしい活動内容をとりあげさせる。
(注) 発達課題からいって,小学生は自発性,中学生は自主性に視点をおいて取りあげるようにさせなければならない。
カ. 問題解決のし方と重点のは握のし方への指導助言をする。
キ. 集団の社会化(望ましい集団への成熟)を促すための指導助言をする。
ク. 適時性と適切性をふまえた承認と賞讃を与え,児童生徒に内的報酬を得させるようにする。
(3) 集団活動としての自主的活動を通して自主性を育てるための条件
ア. 個の自主性の指導の観点
・ 自分の必要や問題意識を明らかにし,それを他の人々に理解してもらうことができるようにさせる。
・ 自分の必要を充したり,自分の問題を解決したりするための行動の計画を自力でたてることができるようにさせる。
・ 自分の計画をよりどころとして,目的(目標)の実現や問題の解決につとめることができるようにさせる。イ. 集団の自主性(協同性)の指導の観点
・ 自分の所属する集団に適応させる。(参加→われわれ感情(一体感)→所属感)
・ 自分の所属する集団の存続発達につとめさせる。(寄与→連帯感→協同性)(4) 集団活動としての実践活動を育てるための条件
ア. 実際の学校生活の中から問題をほり起し,集団活動を通して解決された結果が,実際の生活の中に生かされるような活動とすべきである。
また,そうした活動をしたことにより,ひとりひとりの自主性や社会性が高められ,集団の連帯感や集団の自主性(協同性)も高められるようにしなければならない。イ. 「動機づけ」からみた実践活動の条件
<目標>
・ 自分や集団の現在の力の水準を越える目標であること。(主体性)
・ 自分からすすんでたてた目標であること。(自発生)
・ 目標に自分を向上させたり集団生活をよりよくするというような杜会的価値があること。(杜会性)<過程>
・ 心情(やる気)を起点とする全人格的なかかわり合いがあること。(全人格性)
・ 目標を達成するのに適度な困難性と実現可能性があること。(実現性)<結果>
・ 個人としての満足感や感動,集団の自主性(協同性)や連帯感が高まること。(士気の高揚)ウ. 児童生徒自らが自らの属する集団の生活を向上させるために,成員の「自分の正しい自意志」の最大公約数としての民主的なきまりを定め,それに基いて自らすすんで集団活動をすすめていく,「自発的,自治的活動」を促進しなければならない。
(注) 学校教育の範囲内での自治活動は,全面的な自治活動ではないので,自治的活動とよぶ。児童生徒の人格の自已形成力を信じ,周到な配慮のもとで発達段階に即して自治の範囲を拡大するとともに,責任体制を強化していくようにすべきである。
次回「望まLい集団活動の指導」(その3)では,4. 望ましい集団活動と人格形成 として (1) 人格の構造と集団活動 (2) 生徒指導と集団活動 について述べる予定です。