福島県教育センター所報ふくしま No.33(S52/1977.10) -012/026page
図1
図2
火星軌道を求める他の方法として,太陽から見た火星の方向と,太陽と火星の距離がかわれば図2のようにして作図できる。
作図の手順
ア. イまでは前と同じ ウ. 春分点の方向から左まわりに 角度を測り中心から線を引く。 エ. 中心から7.0cm測り,その点をM 2 とする。M 2 はその日の火星の位置である。 作図上の留意点
ア. 観測資料は多いほど軌道は正確になるが,所要時間と,作図への適否などを考慮すると12〜15点が適当であり,方位角については精度O.1度で作図すればケプラーの第2法則の指導にも十分利用できる。 イ. 作図の方法は,ケプラーの方法だけ用いると1つの火星の位置を作図するのに4回方位角を測らねぱならず作図に時間がかかりすぎるので,ケプラーの方法は3つ程にとどめ,残りは後者の方位角と距離の方法で作図させるが適当と思われる。 ウ. 火星の位置が求められた後で,それらの各点を滑らかな線で連ねる場合,各点間に薄く直線を引き,それをふくらませた形で連ねて行く。 工. 曲線がえがかれた後で,用紙を2つに折り曲げ,曲線が折り曲げ線で重なるかどうか,もし重ならないでとび出した場所は,誤って作図している場合が多い。折り曲げた場合に太陽は折線から少しはずれるが,データの中で赤径を黄径に直さず用いているために生ずる。 オ. 地学Iでは天体座標は取扱っていないので,赤径や黄径といった術語はさけ,「太陽から見た地球の方向」といった表わし方をする。 カ. 資料を作成する場合,天文気象年鑑や天文観測年表が便利で,太陽から見た地球の方向は,その日の太陽の黄径に を加えれば求められるし,太陽と火星間の距離は地球軌道半径を5cmとすれば火星の日心距離を5倍すれぱ長さが求められる。 3. ケブラーの第1法則の実習
目標 与えられたデータによって火星の軌道を作図し,火星の運動について探究する。 準備 三角定規,ものさし,コンパス,分度器,グラフ用紙 実習を進めるにあたり。
ア. 川向いにある目標物を川を渡らないで測量する方法について考えよ。(ケプラーの方法の導入)。 イ. 川を渡ることができる場合は,どのような方法で測量すればよいか。(方位角と距離の方法の導入) ウ. 火星の公転周期を687日とすれぱ,その日からは687日たてぱ,火星は再び元の位置にくることになる。与えられたデータ(表II)を用いて,火星の軌道を作図する方法を考えよう。 表II
実習I
(1) 与えられたデータ(表II))を用いて,火星の軌道を作図せよ。