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極めて重要なこととなる。 |
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すでにのべたように,人格の構造を三つの領域に分けてとらえると,認識の領域(知識,理解)と神経筋肉的技能の領域(手技的技能)は,知的水準あるいは技術水準の高いものが低いものへ「教える」こと,すなわち「教授」という作用で効果が期待できる。 |
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しかしながら,感情的領域(態度,習慣)への教師の働きかけを「教授」という作用ですすめれば,児童生徒は認識的領域(やるべきことを知っている)や神経筋肉的技能の領域(やり方を身につけている)で受けとめてしまい,感情的領域(やる気など)の問題は一向に解決されないでしまうだろう。現実的にみて,児童生徒のあり方をめぐっての今日的課題は,「やるべきこと」も「やり方」もわかっているが,「やる気が生じない」というところにあるということができよう。 |
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このように,人格形成にかかわる今日的課題は,人格の構造のなかの感情的領域に多くみられるとわれていることを考えあわせると,次のような指導のあり方がたいせつとなる。 |
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ア. |
人格は統合的であるから,感情的領域のみに作用する方法をとることはできないが,「教える」(教授)という作用よりも,児童生徒同志が「ともに学ぶ」という作用,すなわち,特別活動の特質とする「望ましい集団活動を通して」の学習=社会的学習の重要性が人格の調和的発達を図るために強調されなければならない。 |
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児童生徒がそれぞれの集団活動の中で,自他の協調をはかりながら,社会的相互作用を通して,「行動する自分」と「他人が評価する自分」とのかかわりあいをつきつめながら適正な判断,強い意志,適切な行動を身につけてゆく過程(社会的学習)をわれわれ教師は支えてやらなければならない。
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イ. |
「ともに学ぶ」集団活動の指導の原理は,児童生徒自らの力で自らを高めてゆくことを促すものでなけれぱならない。そこで重視しなければならないことは,親和的な教師と児童生徒との人間関係を基盤として,適時性と適切性をふまえた「援助」(励ます⇒受容,支持)・「指導」(育てる⇒発達課題をふまえた個人理解と集団理解にもとづく指導助言)によることがたいせつである。 |
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(2) |
生徒指導と集団活動 |
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学校においてすすめられる生徒指導は,教育課程の展開を離れては考えることができない。したがって,生徒指導について端的にいうと,「教育課程の展開と深い関連をもちながら,それらの教育活動を補充し,深化する教育方法によって児童生徒の人格を調和的に発達させる過程である」という機能概念としてとらえることができる。 |
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特別活動の究極的な目標は,「児童生徒の人格の調和的発達を図る」ということで,教育課程の一領域としての特別活動の領域の授業を通して直接達成しようとしている。 |
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すでに明らかなように,生徒指導と特別活動はその目標――人格の調和的発達を図る――の点で全く一致している。 |
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1) |
特別活動と生徒指導との関連 |
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2) |
集団指導と集団活動 |
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生徒指導においては,個別指導と集団指導の相補機能によって児童生徒の人格の調和的発達を図ることを目標としている。一方,特別活動においては,集団活動を通して児童生徒の人格の調和的発達を図ることを目標としている。 |
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そこで,現実の学校生活を考えてみると,授業においても,放課後や課外においても,集団活動を通さないものはほとんどない。したがって,特別活動においても生徒指導においても,児童生徒の集団活動の場は,それぞれの人格形成のために重要な場であるとしてとらえており,両者の指導方法はこの点で全く一致する。 |
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以上のようなことをふまえたうえで,集団活動における集団指導の機能の価値を求めると次のようなことをあげることができる。 |
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ア. |
児童生徒が集団で活動すること自体,おのずと個々の人格を調和的に発達させていくことになるという積極的な意味を方法上の機能としてもっていること。 |
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イ. |
集団で活動することにより,児童生徒の問題行動がおのずと予防されたり,治療されていくという方法上の機能をもっていること。 |
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したがって,生徒指導の集団指導は特別活動の集団活動の場を中心として機能するので,集団活動の指導は,集団指導の原理・方法をふまえてすすめられる必要がある。 |
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