福島県教育センター所報ふくしま No.34(S52/1977.12) -013/026page

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〔学校経営・管理〕について

第1研修部長  古  関  順  世
 

 はじめに

 当センターでは,学校経営講座を行っております。この講座で私が担当した講座内容について,紙面を拝借してご報告を申しあげ,みなさまのご批判をお聞きしたいものと存じます。

 ただし,その全部をご報告致しかねますので,日常口にします,「学校経営」「学校管理」等の用語のもつ内容,望ましい学校経営の方向等について,私の知った諸説の中から紙面の許す範囲内で記載致しますのであらかじめご容赦願います。

I 学校経営の意義と機能
 
1. 学校経営とは
 
 福島県教育庁義務教育課編「学校教育の手びき」には,次のように述べてある。
 学校経営の意味,あるいは定義については,学校経営を研究している学者や,それに実際にたずさわっている人たちの間で,少しずつ相違があるようである。しかしこれらから学校経営とは,「経営組織体としての学校の維持と発展をはかり,学校教育本来の目的を効果的に達成させるための,諸過程の統括作用である」ということができようと述べ,続いて,細谷氏,大嶋氏,相良氏,石氏,松本氏等の諸説が記述されている。
 これらのことから,学校経営は,学校教育の目的を達成するための方法であり,手段であるが,学校教育の目指す目的は,公教育の完全な遂行である。それは教育委員会を通して,地域社会の要望にこたえひいては国家社会全体の期待に添うものでなけれぱならない。従って,学校教育は,国や教育委員会,一般社会の教育の在り方や要望にこたえて,筋道をたてて行うものである。もちろん経営というからには,経営者自身の抱負経倫の実現をはかり,学校の自主的な運営の中に,子どもの個性豊かな成長と発達を期さなければならない。
 
2. 学校管理とは
 
 学校管理ということもよく耳にする語であるが,この語の概念規定にも多説がある。これらの説を分類すると,狭義の場合と広義の場合とに分けられると思う。
(1)  狭義
 教育学事典によれぱ,教育法規に従って,1学校の目的達成に必要な諸条件を整備し,諸施設を維持,運用する作用といっている。
 安藤堯雄氏は,もっと狭く定義し,「学校管理は教育を行うための諸条件を整備確立すること,人的,物的施設の総合体としての学校を動かしていくことであり,学校を経営することではなくて,それを対象として,第2次的に行われる活動」としている。
 この狭義にとらえた学校管理を学校経営と対比してみると,学校経営は学校の主体性にたった教育活動とみられ,学校管理は法的,財政的側面からみた教育活動とみることができよう。
(2)  広義
 学校経営と学校管理とは同義語であるととらえている人もある。
 最近は多くの本に,この2語を分けないで,学校経営管理とまとめて用いられることが多いようにみえる。
 
3. 学校管理の指導原理
 
 エドモンソンは,学校管理について,その指導原理を,次のように説いている。
(1)  健康,能力および精神の発達
 児童・生徒の健康と社会的能力および心身の発達を学校管理の基本的な指導原理とする。
(2)  児童・生徒の成長の手段としてのカリキュラム
 児童・生徒の発達と必要性とを診断し,それぞれの児童・生徒に適応するカリキュラムを与えることは,学校の責任である。
(3)  個性の尊重
 児童・生徒および教職員の個性の保護がたいせつである。
(4)  時間・精力および設備の有効な利用
 全職員と全施設とを最大限に利用し,あらゆる浪費をとり除くような管理をしなけれぱならない。
(5)  努力の調整
 全職員が個人としてではなく,調整された全体の一部として,はたらくようになっていなければならない。
(6)  方針や計画の決定には,ひろく参加を求める
 職員と生徒との両者が必要に応じて,これに参

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