福島県教育センター所報ふくしま No.34(S52/1977.12) -014/026page
加することが,民主的な管理である。 (7) 責任に応ずる権限 権限の委任は,責任の委託に応ずるべきである。 (8) 特殊の適性と制限の考慮 特殊の適性と制限とを十分に考慮し,適材配置がたいせつである。 (9) 任務の重複 役職の権限と義務とを明確にし、任務の重複をさけて、摩擦や不満の原因を除くようにしなければならない。 (10) 相対的価値についての適切な判断 すべて校長の決定は、健全で、基本的な教育哲学に一致するものでなければならない。 (11) 学校全体の福祉が至上 一部の者の野心,し意などに動じないで,学校全体の立場から,おさえなければならない。 (12) 学校の基本方針と首尾一貫した方針と計画 学校の基本方針,教育目標,年間指導目標,教育活動計画・学年・学級に至るまで首尾一貫した方針と計画でなくてはならない。 (13) 教師の専門職的資質の向上 教育職の具有する資質について,秘義性を有するほどの専門性をもつよう努力すべきである。 (14) 望ましい対外関係 学校の実状を適切に,教育長,教育委員会,一般人に知らせ,協カをもとめなければならない。 (15) 建設的な方針および方法 楽観的な予見を排除するとともに,不安やあがきは望ましくない。 以上のような指導原理をみてみると,エドモンソンも学校管理を必ずしも狭義にとっておらず,この指導原理は,そのまま学校経営の指導原理ともなり得るものと考えられる。 4. 学校の経営管理機能の諸相 (1) 計画機能 教育目標の立案から具体的には,教育作用を有効に運営していくための,あらゆる企画を含む。計画のないところに有効な経営管理はない,計画機能こそ経営者の機能であり,校長の最も重要な職能である。 (2) 組織機能 合理的能率的に学校経営管理の効果をあげようとするためには,経営原理に基づいた,校務運営組織をつくる。 線組織(ライン オーガニゼーション) 上からの指揮監督が撤底しやすい組織 機能組織(スタッフ オーガニゼーシヨン) >学校も近代化すれぱするほど,職能化の方向が強くなる。職能化の方向が強くなれぱなるほど,校長の教育課程の管理は,いわゆるスバンオブ コントロールの外になってくる。しかし校長は教育課程の管理者である。学校経営の中にスタッフ組織を作らなければ,有効に学校を経営することは困難になりつつある。 (3) 指示機能 公教育としての特性をもつから,法に基づく指示命令があり得る。間違った行為の是正や法律違反の行為には監督権の発動も必要となる。 指示は仕事の執行に対して筋道をつけることである。 (4) 指導機能(リーダーシップ) 専門家としての教師の仕事をいかに能率化するかは,学校の管理者たちの有効な指導以外にはない。そのため学校の管理者には,指導性の資質,能力が必要とされてくる。 (5) 調整機能 学校における仕事の質・量の差,重要度や複雑さの差,範囲の差,繁簡の差,緩急の差,これらを調整整理して学校経営の能率化をはかる。 学校における教頭職が中心となる,「校務を整理し」とは,調整機能とも考えられる。 (6) 報告機能 有効にして能率的な責任報告制が,学校経営のしくみに応じて工夫されなけれぱならない,このためには教職員の職務権限が確立されている必要がある。 一般企業体における内部報告制度は,学校経営に大きな参考となる。 (7) 財務機能 学校の財務機能とはどういうものなのか,またそれはどんなふうにはたらくべきものなのか,すくなくとも校長以下スタッフの人たちは最低限の知識と理解をもつべきである。 II 経営組織の近代化・現代化 経営の近代化とか,現代化ということを耳にするが企業経営上は次のように考えて組織化している。しかしこのまま学校経営に導入することは不可能であろうが,大いに学ぶべき点が内在している。 1. 経営組織の近代化 目的達成の手段として意織的,かつ合理的につくられる。仕事が客観化され,合理的に組織づけられる,個々の仕事に責任と権限が付着し,そこに能力に応じた人間が配置されて活動する。だから因習と身分とが仕事をきめてしまうような前近代的組織とは鋭く対立する。 この経営組織は生産能率をあげ,経営規模拡大,必然的に部門の分化,権限委譲が生まれ,ライン組織に職能組織が出てくる。