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(1) |
研究の実践と結果 |
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器械運動の三つの領域をそれぞれ低学年ブロック「鉄棒運動」中学年ブロック「マット運動」高学年ブロック「とび箱運動」にわけ,授業研究を中心にできない子の指導に当ってきた。特に授業研究では,学級の実態を適確にとらえ,つまずきの状態とそれに対する治療指導の仮説を指導案に明記し,事前・事後研究会の折りに討議をかさねた。 |
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又,隔週水曜日の放課後,学年と題材を決めて,できない子の指導(マンツーマン方式)とあわせて実技研修会(指導のポイント)を実施した。その研究結果を分折すると,次のようにまとめられる。 |
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ア |
できない子の原因分折(診断) |
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(ア) |
体力・技能面での原因 |
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からだの太りすぎ(肥満児)
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病気・欠席がち
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運動能力や機能が低い
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児童に与えた運動技能の目標が児童にとって高すぎるため,運動意欲を低下させている
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(イ) |
精神面での原因 |
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恐怖感
自信の欠除
あきらめ
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わがまま
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恐怖感を持つ子どもの原因
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ひとりっ子や過保護にされてきた子ども
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遊びで,ひどく痛い目にあった子ども
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偏食が多くいつも病気がちな子ども
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精薄に近い子ども
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視力障害のある子ども
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体育時での失敗の経験がある子ども
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(ウ) |
家庭環境での原因 |
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過保護O遊びの経験が少鮎'。 |
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イ |
恐怖感を取り除く対策(処方と治療) |
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(ア) |
器械・器具になれさせる。 |
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他の子どもたちが学習している前の段階の運動で,できる範囲の運動をさせる。
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(イ) |
自信を持たせる。 |
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恐怖感をいだいている子どもは,指導者に依頼する気持ちが強く,指導者に補助されても,できたことを喜ぷ。
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(ウ) |
安心感を持たせる。 |
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ちょっと自信がない子どもには軽く補助する
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(エ) |
成功感をもたせる。 |
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ウ |
児童ひとりひとりに即した指導をする。 |
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(ア) |
適切な個人目標をもたせ,成功感や喜ぴを味わわせる。 |
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(イ) |
技能のポイントをまちがって理解しないようにさせる。 |
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(ウ) |
恐怖感をなくすための指導や施設用具を工夫する。 |
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(エ) |
学習の順序をむりなく段階をふむようにする。 |
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(オ) |
ほめる指導や励ましのことぱが必要である。 |
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(2) |
研究に対する反省と今後の課題 |
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ア |
研究に対する反省 |
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一斉指導におけるできない子の指導として研究に取り組んできたが,授業に対する指導者の取り組み方,心がまえができない子にむけられ,指導がひとりひとリの体カ・技能の向上にむけられ,授業が効率化されてきた。しかし,授業時,できない子にカが注がれすぎ,できる子を伸ぱしきれないとの反省もでている。又,授業時のみにできない子をなくすことは,なかなかむずかしいため自由時(休憩時,課外)の自主的練習や指導により,大きな成果を得たことも見のがせない。 |
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できない子の指導の記録のとり方についても,まだ問題が残っている。 |
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イ |
今後の課題 |
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(ア) |
計画的・継続的な指導記録の作成と検証 |
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(イ) |
校内統一された,同一形式,内容,方法の指導記録の作成 |
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(ウ) |
できない子と合わせて,ひとりひとりを伸ばす指導の工夫 |
以上の点を中心に,今後更に研究を継続し,深めていきたい。 |