福島県教育センター所報ふくしま No.34(S52/1977.12) -023/026page
人物画テストヘの誘導に抵抗はなかった。 「君の好きなように描いていいんだよ」という提示であったにもかかわらず「目をかいてもいいんですか」,「 かいてもいいんですか」の質問が3度程出てきた。 描きおえても「これでいいでしょうか」とたずねることばは,山村の子に比べて,しっかりしている。 帰りに「どうもありがとうございました」と鮮明なあいさつをした。 (4) 母親に対するエゴグラムによる自己分析
結果は下のプロフィルのとおり。
全般に高いが,MPとACの高さが気になるので,親子関係診断検査を実施し,現実にとっている養育態度と比べて,理解しようとした。 (5) 親子関係診断検査(母)
結果は下の図表のとおり。
右の一覧表の中に, 印を付けた事項は「準危険」◎印を付けたものは「危険」地帯に在る。 特に,「矛盾・不一致」の態度が子どもにとって大きな間題となろう。 5, 親子関係と問題行動との関連
(1) 一覧表
態度
内容分類型 態度・内容の説明 親 の 態 度 子どもの問題行動 I
拒
否1◎
消極的
拒否型子供に対する事情
や態度に拒否的傾
がある場合
●子供への愛情欠
如
●援助拒否
●子供に対して無
視
●表現の欠陥無視・放任
無関心・不信用
悪事情・不一致等●注目牽引
非行2
積極的
拒否型体罰・虐待
威嚇・屈辱
過酷な要求
保護養育の責任放
棄乱暴・攻撃
神経症的傾向
異常行動
心身の発達遅滞II
支
配3
厳格型子供に対して過度
の支配力をもつ親
で,子供は親の所
有物とみなし絶対
の権力で統制しよ
うとする態度。厳格・頑固・強制
などの態度をとり
命令,禁止,批判
で絶えず子供を監
督している。意欲がない
性的不適応をおこ しやすい。
劣等感一時のがれ のうそ4
期待型親の要求や野心を
子供に強要する態
度で素質・能力適
性希望の無視,親
の要求する方向や
水準に従わせるタ
イプ。学業,訓練に抵抗
現実面から逃避す
ることが多い。
不適応感III◎
保
護
5◎
干渉型子供に対して心配,
不安,恐怖を抱い
ている,親は過保護
によって解消しよ
うとする。物事を
冷静に合理的に処
理する態度に欠け
感情的行動をとり
やすい。親は極度
の過保護となって
現れる。子供をよりよくす
るために細々とし
た世話をやき,でき
るだけの助力や指
図を与えようとす
る。心身の発達遅滞
依頼心強く
忍耐力に欠け
責任転嫁6◎
不安型子供の日常生活・
学業・健康・交友
関係,将来の進路
などに心配や不安
を抱き過度の援助
や保護を与えるタ
イプ。●社会的成熟遅れ, ひっこみ思案で孤 独になり易い
外界に対する恐怖
社会不適応,神経 症的傾向IV
服
従7◎
溺愛型子供の要求や主張
は何事であれ無条
条件で受け入れて
満足している。
愛情過多,服従的
奉仕によって満た
されない事情を補
っている。かわいがりすぎ,
必要以上にかわい
がってやり、悪いこ
とでも味方になる。幼稚(幼児的な特 徴)
自己統制が欠ける。8
盲従型一切の権力を子供
にもたせ,親はど
んな犠牲を払って
も子供の要求を入
れてやろうとする
タイプ。自己中心的,抑制 力不足
非協調性,性的発 達,早熟・抑制不足
社会的技術―幼稚
忍耐力なく,無責任V◎
矛
盾
・
不
一
致9◎
矛盾型一人の親が時と場
合によりしつけや
態度に矛盾をきた
したり,また両親の
態度が一致しなか
ったりして子供は
激しい混乱に陥し
いれられる。同じ行動に対して
あるときは叱責禁
止し,ある時は見
逃し,奨励したり
するような一貫性
の欠如している態
度。規律正しくない
耐えざる緊張,不 安
神経症的な問題
反社会的傾向10◎
不一致
型両親の態度が一致
せず,子供が両親
から異った取扱い
をうけている。激しい反抗心,反 社会的傾向
●ひっこみ思案― 残忍冷酷
極度の非行
主訴や面接の中で出た,現に学校家庭でみられる,子どもの問題行動については,●印を付けてある。 6. 専門医による所見
生育歴の中から特に関連づけて注目すべきことは,見られなかった。 現況の中にみられる,行動上の問題や,センターでの