福島県教育センター所報ふくしま No.35(S53/1978.2) -016/026page
えてくれました。ぼくは反省しましたが,まだま だしっかりやらなくちやと思って○にしました。
これらの作文から診断できることは,学級での活動が教育目標への具現化のために,きめ細かい配慮がなされていることと,それを受けた児童は,自己評価のとき自己に厳しい姿勢をとったのではないか。
また,一面こうしたことは見方考え方が育ち,教育目標の受けとめ方の質が高まったのではないかと思われる。
<考 察>
ここにあげた評価全体集計は,児童のひとりひとり に対しての三者評価がもとになっている。個表をみる と三者がみた個々の児童像が一学期から二学期へどう 変容したかうかがうことができる。
こうした評価そのものは動的なものであるが,計量化された数値の高まりと作文にもみられるような,きめ細かい厳しい自己批判からくる質的な高まりがあったとみることができよう。
三学期は計量化される数値の高まりをもとめながら評価結果の三重像という差をすこしでも縮めたいものである。
≪全体の考察≫
昨年までは,児童個々の到達度合いの計量化なしに 学級全体としての傾向をみ,具現化の手だてをもとめ てきた。
本年度ほ,この実践研究によってひとりひとりに到達めあてへの意欲をもやし具現化をはかるため,児童個々の計量化を自己評価・担任教師評価・家庭評価という三者評価を実施した。
この計量化された評価は,教育目標を中心にして,児童にすれば自己を理解することであり,担任教師や家庭にとっては児童理解である。
教育目標具現化にあっては,こうしたそれぞれの児童理解の共通化という働きかけと,個々の児童理解に立った学級集団の経営がなされない限り成果は薄いものと思われる。
したがって,本校が児童理解の共通化のために通知票の行動記録を除き到達めあての度合い評価を通知したことは,実践研究にも大きな役割をはたしたことを特記したい。
最後に本校の実践経過からみて,すべてが落ちなく 進められたとは言えない現状であるが,昨年まで整備 した教育目標具現化策を大せつにし,累積実践研究の 5か月にして,前記のような成果の見とおしをもった ことから,ひとりひとりの教育目標への到達度合いの 計量化とその対策の必要性が実証されよう。
5.今後の課題
次年度もこうした具現化策の一面を実践していく中で考えなければならないこととして
(1)通知票の印刷を学年ごとにするか。
このことについては,学年共通のものとし,通知票の見方を学年ごとに印刷し配布する方法で研究をすすめている。
(2)指導要録の評価項目と本校の到達度の評価項目をどう関係づけるか。
このことについては指導要録の評価項目内容は一般化されたものとして受けとめ研究に入った。
(3)三者の評価にとどまることなく,教育目標への到達度合いの診断を学区民全体によびかけ地域ぐるみの学校教育理解と支えという環境条件の整備につとめていきたい。