福島県教育センター所報ふくしま No.35(S53/1978.2) -018/026page

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(3)人のこころを育てる教育こそ大切

 人間尊重の教育とは,個々の人間を大切にする教育であり,人のこころを育てる教育である。それを,生徒の毎日の授業における学習のすがたの中にだけ限って考察してみると,その中には「明るさ」があり,「力強さ」があり,「あたたかさ」があり,「はつらつさ」があり,「しみじみしたもの」が感じられなげればならない。そして,その結果は,常に,生徒の姿と態度に「さわやかさ」がなければならない。

(4)問題を持って学ぶことの必要性の自覚

 今までの教育は,創造や開発の面より,適応と伝達の面に重点を置きすぎ,生徒ひとりひとりの可能性の芽をつみとっている。人は,「いつ」「何を」「どのように」学ぶかによって,自己を形成していくといわれる。すなわち,学ぶ内容,学ぶ問題について,生徒が,現に今ここで問題としていることが何であるかを自覚させなければならない。そうすることが,生徒の思考を高め,豊かなこころを持つ生徒を生み出すことになるのである。

(5)四つのこころの育成をめざして

 このように考えてくると,「豊かなこころを育てる教育」の目的を達成するためには,全人教育の立場に立ち,調和と統一のある教育課程の編成と実施が重要であり,全教育活動の中で考慮しなければならない。ここで,「豊かなこころを育てる教育」を,生徒が学習に立ち向うときの感情や意志,追求の姿勢から分析してみると,「感じるこころ」「求めるこころ」「考えるこころ」「生きていくこころ」 の四つの「こころ」が考えられる。この四つのこころを育て,はぐくむことが,生徒ひとりひとりの心を豊かにし,豊かな人間性の育成となるのである。

2.見通し

 四つのこころが各教科,各領域で具体的に受け入れられ,毎日の教育活動全領域の中で計画的にしかも,継続的に考慮されれば,生徒ひとりひとりの心は豊かになり,連帯感に満ちた生き生きした生徒が育つであろう。

3.豊かなこころを育てる全体構想

豊かなこころをもつ生徒 *一部分掲載

4.研究の組織

研究の組織

5.研究の内容と方法

(1)研究の内容

《1》 第1年次(昭和49年度) 「四つのこころ」についての理論的研究と,各領域にお ける指導計画,指導方法の検討と改善をはかる。

 ア.「四つのこころ」を育てるために,生徒の能力や適性等を十分考慮して,各教科,道徳,特別活動等の指導計画の検討と改善をはかる。

 イ.生徒ひとりひとりが学習の目標を把握し,興味を持って,積極的に学習に立ち向う自主的学習態度を育てるための指導方法の改善と工夫をはかる。

《2》 第2年次(昭和50年度)

 ア.前年度の研究にのっとった実践研究の充実・深化・仮説に基づく授業研究・生徒指導上の実践

 イ.研究を共通理解の上に立って,さらに深化させる ための領域別サブテーマの決定 

《3》 第3年次(昭和51年度)

 ア.1単位時間45分運用による余剰時間30分を生徒活 動の時間として,生徒の自主的活動の伸長と充実をはかる。

 イ.集中授業研究と授業分析による実践・深化

 ウ.研究のまとめと反省,研究公開発表。

《4》 本年度(昭和52年)

 ア.豊かな人間性育成の行動目標作成とその焦点化 

 イ.他領域との関連を明確にした全体計画の作成 

 ウ.生徒活動の具体的実践事項の実践計画の作成 

 エ.学年別月間活動計画の作成 

 オ.運営にあたる教師・生徒の組織づくり 

 カ.リーダー養成を含めて生徒参加のあり方についての指導の計画作成 

 キ.評価計画の作成

(2)研究の方法


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