福島県教育センター所報ふくしま No.36(S53/1978.6) -006/034page

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小学校教材


「流水のはたらきと川原のレキ」の指導について


学校周辺の川原を教材化するポイントと、「流水の働き」実験装置の工夫


科学技術教育部  入道 正


  1.はじめに

 今回の学習指導要領の改訂では「ゆとりある教育」が基本方針に掲げられている。従来ややもすれぱ,野外での観察や実習が時間不足の理由のもとで,スライド等の補助教材に置き換えられた学習が多く展開されてきたことは残念なことであった。特にC領域の多くは,自然に直接ふれ,観察を通して白然のからみ合い,規則性を学習していく教材が多く,本来の理科学習活動の姿である教室から離れ野外に児童を立たせることから疑間を見出させ学習を始めさせたい。

 4学年の「流水のはたらき」教材のねらいは,川上や川下の川原の様子を比較観察させることによって、その様子の違いから原因を追求させ,流水は土地をけずって形を変えさせながら,石や砂を運んだり,積らせたりすることを流水の速さや水量に関係づけてとらえさせることにあリ,この学習を通して,自然の変化は長い年月をかけておこなわれていることを理解させ,児童に時間的,空間的なものの見方,考え方を育てる教材でもある。

 また,この教材は野外学習が不可欠な要素であるだけに,学習のめあてをはっきり定めて,児童ひとりひとりが多くの問題を見つけ、自分から解決しようとする意欲のもてるような指導が大切であろう。そして,それらの問題から,離れた他の場所での観察の必要性を感じさせたり,仮説を検証するための実験を学習に仕組むことが重要である。

2.概念の系統
天気による地面の様子の違い ‥‥‥1年
水を使っての土砂の固まり方、水のしみこみ方、水の中での沈む様子の違い ‥‥‥2年
雨水が地面を流れる様子を観察し、水の流れが、土地を削ったり、砂や土を流したり、積もらせたりする現象をとらえさせる。天気による地面の様子の違い ‥‥‥4年
川原や川岸の様子を川の無図の流れと関係づけながら、流れる水のはたらきをつかませる。
川原や川岸の様子の変化も、実際の川の様子と水の流れの速さ水量を変えた実験とを関係づけて推論させる

3.野外学習実施上のポイント

1)観察場所の選定
 学習の効果を上げ得るか否かの決定的要素を握る要なカギです。充分時間をかけて下見する必要がある。
1-3時間続きの授業を前捉としたとき,往復に1時間、観察実習に2時間を目あてにする。
2-学校から現場までの交通事情や,川原の危険状況を配慮する。
3-河川や水の流れがうねっていて,川原や川粋が流水で浸食されている箇所が観察できるような場所
4-学校周辺に小川しかない地域でも,その規模は小さくても,水の醐きで,土砂が穂ったり水の流れの速さの違いで川底に積っているものの違いなど観察されるので、ぜひ野外観察ルートを選定し児童に活きた自然に目を向けさせる。

2)川原におりる前に土手に立ち,川全体を見まわす。
1-土手や,橋の上から,これからの野外学習の手順や危険場所の明示等必要最小限の伝達をする。
2-おおまかに川の流れをスケッチして,その中に川原の位置や,川岸の様子(けずられているかどうか)また,川原の広さ、水の流れている幅など,およその長さを書き入れておく。

木戸川の川口

木戸川の川口

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