福島県教育センター所報ふくしま No.36(S53/1978.6) -011/034page
第2図 人口増加率と小学校児童数増加率との関係
人口動態を地域ごとに整理した(第2表)。この6か月間の福島市における人口増加は,自然増加1,388人(出生2,079人と死亡691人の差)と社会増加501人(転入14,382人と転出I3,881人の差)を合わせた1,889人で,市全体でみると,杜会増よりも自然増に負うところが大きい。詳細については省略するが,第2表にみる通り,A,C両地域でほ,転入人口よりも転出人口が多く,自然増と差引いた地域全体の人口は児童数と同様に減少している。また,児童が増加傾向をたどるB地域では.転出人□よりも転入人口が多く,自然増を加え,地域全体の人口が増加し,人口の郊外における増加を裏づける。市街地の中心部に高層ビルが建設されていく過程で,在来の住宅併用店舗が買収され,そこの佳宅は店舗のみを残して,住居を郊外に移す。また,都市への流入人口は,地価や生活環境の関係から,市街地中心部よりも郊外に居住を求めるので,郊外での白然増加をさらに高める。こうして,市街地中心部の人口減少と郊外での人口増加とがもたらされる。
5.県内諸都市の「人口ドーナツ化」
福島市における分析結果をもとに、同一の指標と方法によって,県内諸都市の「人口ドーナツ化」について検討してみると,郡山,いわき,会津若松の三都市において,このことが類推できる。A,B両地域の該当学区を示すと,第三表のようになる。二本松,須賀川,白河,相馬,原町ではA,B地域に該当する学区がそれぞれ1,2校認められるが,「人口ドーナツ化」として圏構造をとるまでにはいたっていない。
第3表三都市におけるA,B地域の該当学区
市・地域 A(減少) B(増加) 郡山 金透、芳山 赤木、橘、小原田
東芳、高瀬、永盛、安積一、柴宮、 桜、開成、小山田、大成、桑野、
大槻、桃見台、大島、富田、行健
いわき 平一、平二 平三、平四、平五、平六、御厩 高坂、好間一
小名浜一、 小名浜二
小名浜三、小名浜東、小名浜西、 鹿島、泉、磐崎
植田 汐見が丘、錦、勿来一 会津若松 鶴城、鶴北 行仁、城西
謹教
日新、一箕、門田 以上、地域の変容をとらえる指標としての小学校児童数の意義づけを行ってみたが,このような指標はほかにもあると思う。教科の目標と児童生徒の発達段階の視点から資料を吟味し,教材化することが望まれる 。