福島県教育センター所報ふくしま No.37(S53/1978.8) -002/030page

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小学校教材

児童の言語能力を高めるための教材研究

説明文「木の冬ごし」の教材研究を中心に

教科教育部   太田 勝弘

1.はじめに

昭和52年7月,新指導要領が告示された。国語科における改訂の基本方針としては,
(1)内容を基本的事項に精選すること。
(2)言語の教育としての立場を―層明確にすること。
(3) 表現方を高めるようにすること。

以上,三つのことがあげわれている。

そして,昭和55年3月までの移行期間中は,改訂の趣旨を十分生かして指導することになっている。

ところで,改訂の基本方針でいっている「言語の教育としての立場を―層明確にする」とはどういうことなのだろうか。

それは,これまでの国語科教育は,教材のもつ思想内容,意味内容をとらえさせることにかたより,言語を通して思考し,理解させるという国語科本来の指導が手うすであった。だから,国語科ほ言語能方を高めるための教科であるという立場に立つて指導に方を入れなければならないということである。

それでは,言語能方を高めるためにはどのように教材研究をすればよいのだろうか。ここでは,説明文「木の冬ごし東書(3年下)の教材研究を中心に考えてみたい。

2.教材研究

(1)教材研究の手順

1(丸囲み) 文章の研究
ア 文段区分,各段落の「中心文」「中心語句」などをおさえて文章構造図を書く。
イ 意味構造図を書いて文意をとらえる。
2(丸囲み) 指導事項の研究
ア 内容的価値をとらえる。・………(価値目標)
イ 学習すべき技能をとらえる………(技能目標)
ウ 学習すべき言語事項をとらえる。
3(丸囲み)指導過程の研究
ア 学習計画をたてる。
 イ 1時間ごとの指導過程を作成する。

(2)説明文「木の冬ごし」の教材研究

(ここでは,1(丸囲み)文章の研究と2(丸囲み)指導事項の研究につい て述べることにする。)

木 の 冬 ご し

(一)1(丸囲み)つめたい風がふいている寒い冬てす。 2(丸囲み)夏のころ,あおあおとしていた野原や道ばたの草は,かれてしまっています。3(丸囲み)ヒメジョオン,オオマツヨイグサのような草だけが,日当たりのよい所で,地面にはうように葉を広げています。

(二)4(丸囲み)サクラやイチョウなどの木は,葉が落ちて,かれてしまっているように見えます。5(丸囲み)マツやツバキなどの木は,夏のころとかわらないで,緑の葉をつけています。

(三)6(丸囲み)サクラやイチョウは,ほんとうにかれてしまったのでしょうか。 7(丸囲み)いいえ,かれてはいないのです。8(丸囲み)それは,えだをおろうとしても,ねばり強く曲がり,すぐにはおれないことからも分かります。

(四)9(丸囲み)サクラのえだを注意して見てみましょう。10(丸囲み)サクラのえだには,細長いめや,ややまるい形をしためがついています。11(丸囲み)細長いめは,葉やえだになるめで,まるいめは,花になるめです。12(丸囲み)これらのめは,冬になってできたものではありません。13(丸囲み)夏のころに育ち始めたもので,冬の間も少しずつ育っています。14(丸囲み)― 日に―度ぐらい,めを取って中をみてみましょう。15(丸囲み)たてにま二つに切って見ると,めの育つ様子が分かります。16(丸囲み)サクラだけでなく,葉の落ちた木には,冬の間も少しずつ育つめがついています。

(五)17(丸囲み)冬の間も,木のめがかれないで育っていくためには,めから水分がなくならないようにしたり,また, めがこおらないようにしたりしなければなりません。18(丸囲み)そのために,木々は、いろいろな方ほうで風や寒さをふせいでいます。


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