福島県教育センター所報ふくしま No.37(S53/1978.8) -003/030page
(六) 19(丸囲み)サクラのめは,茶色のうろこのような皮につつまれています。20(丸囲み)冬の強い風でかわきすぎたり,つめた い水がしみこんでこおったりするのをふせいでいるのでしょう。21(丸囲み)トチノキのめも,うろこのような皮につつまれています。 22(丸囲み)そのうろこには,やにがついていて,水をはじくようになっています。23(丸囲み)ハクモクレンやコブシのめは, あたたかそうな毛でおおわれています。
(七)24(丸囲み)ムラサキシキブのめは,皮や毛につつまれていません。25(丸囲み)はだかのままで,とても寒そうに見えます。 26(丸囲み)ところが,はだかのままでも,めがこおらないようになっています。27(丸囲み)めの中の水分が少なくなっている のです。28(丸囲み)しかも,水をこおりにくくするようなものが,めの中にとけこんでいるのです。
(八)29(丸囲み)マツやツバキほ,冬の間も葉をつけています。30(丸囲み)これらの木の葉は,かたくてあつく,葉の表面にはつやがあって, 寒さをふせぐのに都合よくできています。31(丸囲み)また,ビワの葉のように,葉のうらがわ―面に毛の生えているものもあります。 (九)32(丸囲み)いつも葉をつけている木にも,冬の間少しずつ育つめがあります。33(丸囲み)ツバキには,サクラと同じように, 棄やえだになるめと花になるめがあります。34(丸囲み)春から夏にかけて,葉やえだになるめがじゆうぶんに育つと古い葉が落ちます。 35(丸囲み)花になるめは,春が近づくと,いっせいにのびて,やがて美しい花をさかせます。
(十)36(丸囲み)このように,冬になると葉が落ちる木も,いつも葉をつけている木も,冬の間に,新しい葉を育てたり, 花をさかせるじゅんびをしたりしているのです。 (加藤嘉男の文章による) 東書 3年下
1(丸囲み)文章の研究
ア 文章構造図を書く
教材研究の第―段階は,教材をよく読んで,文章構造をは握することである。その際,子どもに文章構造をとらえさせる手順に従い,しかも,ただ頭の中でまとめるのではなく,実際に構造図を書いてみることである。
[文章構造をは握する手順]
ア(丸囲み)形式段落の中心文のとらえ方
○文と文の連接関係を調べ中心文をとりだす。
例 形式段落回の中心文のとらえ方
上記のような方法で調べていくと中心文は16(丸囲み)であることがわかる。次に,具体的に調べてみよう。
9(丸囲み)から15(丸囲み)までの中で,中心文をさぐる際のキーワードは,12(丸囲み)冒頭の「これらのめ」である。「これらのめ」というのは,10(丸囲み)11(丸囲み)でいっているサクラのえだについているめをさしている。したがって,12(丸囲み)を取り上げ,10(丸囲み)11(丸囲み)は12(丸囲み)に含める。また「これらのめ」というのは,13(丸囲み)の主語であるが,題名である「木の冬ごし」に関する内容は13(丸囲み)に述べられているので,13(丸囲み)を取り上げ12(丸囲み)は13(丸囲み)に含める。したがって,9(丸囲み)から15(丸囲み)までの中心文は13(丸囲み)であることがわかる。
ところで,13(丸囲み)と14(丸囲み)を比べた場合はどうなるだろうか。16(丸囲み)が中心文である。それは,13(丸囲み)がサクラの木のめについてだけ述べているのに対し,16(丸囲み)は,冬に葉の落ちるすべての木のめについて述べているからである。
イ(丸囲み) 形式段落の要点のとらえ方
○中心文をとらえる。 (ア(丸囲み)の中心文のとらえ方参照)
○―つの形式段落の中に中心文が二つ以上ある場合
このような場合は,二つ,あるいは三つの中心文をまとめたり,別な言葉におきかえたりして,―つの文にする。文章構造図の(六),(七)を参照。
○中心文のない場合は,だいじな言葉を取りだして結んでいく。例 1(丸囲み)………… 寒い冬 /………。
2(丸囲み)……… の草は,かれてしまっています。 3(丸囲み)…… のような草だけが,棄を広げています。
寒い冬になると,かれてしまう草とかれないで葉を広げている草がある。
ウ(丸囲み) 意味段落のとらえ方
・形式段落の要点相互の関係を調べ意味段落にまとめる。 (文章構造図の意味段落の要点の項を参照)
・第―段階 (一)と(二)の比較
(一)は冬の草の様子についてのべ,(二)は冬の木々の葉の様子について述べている。この文章の題名は,「木の冬ごし」であるから,木の葉について述べている(二)を取り上げ,(一)は(二)に含める。・第二段階 (三)と(四)の比較
(三)では,「・…‥かれてしまったのでしょうか」と問題を投げかけているのに対し,(四)では,その問題を解決するために観察したことを述べていることから(四)を取り上げ,(三)は(四)に含める。