福島県教育センター所報ふくしま No.37(S53/1978.8) -005/030page

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エ(丸囲み) 要旨のとらえ方

○それぞれの意味段落を,意味段落相互の張り合い関係に留意しながら,さらに大きなまとまりにまとめていくと,文章全体の要旨をは握することができる。

○説明約文章の構成には,
・頭括式……結論をさきに示すもの
・尾括式……条件を列記してあとで結論を示すもの
・双括式……頭括,尾括をともに取り入れたもの
などがある。

本教材「木の冬ごし」は,尾括式で,文章の最後に結論がきている。

イ 意味構造図を書き,文意をとらえる。

○意味構造図を書いてみると,筆者の意図がよりはっきりしてくる。

2(丸囲み)指導事項の研究

ア 内容的価値(価値目標)をとらえる。

この教材からどんな内容的価値(価値ある知識,情報)などを得させることができるか。また,どんな思考カ,態度を養うことができるかを考え,価値目標を設定する。

この価値目標は,文章の研究の段階で文章の構造,意味の構造を明らかにし要旨や作者の意図をとらえることによってきまつてくる。

○「木の冬ごし」の価値目標
・冬の木々は,葉の落ちる木も葉の落ちない木も,春になって葉をだしたり,花をさかせたりするじゅんびをしていることを知る。
・論理的思考を通して,科学的なものの見方,考え方を育て,他の「科学的な読み物」も進んで読む態度を養う。

イ 学習すべき技能(技能目標)をとらえる。

この教材でどんな技能を身にっけさせることができるかを考え,技能目標を設定する。設定の手順は次の通りである。

第―に,文章の研究の段階で,その文章を読みとるにはどんな読解技能が必要かを明らかにしておく。

第二に,指導要領に明示されている読解目標,指導事項を基準にして,技能目標をきめる。

第三に,学校の年間指導計画に位置づけられている目標と照合してみる。

○ 木の冬ごし」の技能目標
[中心技能]
・叙述や表現に即して正しく読みとる。
[関連技能]
・文と文の連接関係に注意し,中心文,中心語句を おさえて形式段落の要点をは握する。
形式段落相互の要点に注意して,大きな意味のまとまりにする。

ウ 学習すべき言語事項

次に列挙する言語事項は,教材文「木の冬ごし」の―部である。文章の研究の段階で取り上げられたものが多く,読解する上で大切な言語である。

そして,これらの言語事項は,とりたてて指導するのではなく,文脈の中で理解させることが大切である。

○文末表現
・「・…‥かれてしまっています。」と「・…‥ように見えます。」の違いについて
前者は,本当にかれてしまったことを意味し,後者は,「かれていないかもしれない。」という意味が含まれている。
・「・…‥でしょうか。」は,話題の転換を意味する文末表現である。

○累加,並列
・・・‥たり……たり……。の17(丸囲み)20(丸囲み)36(丸囲み)
短文作りなどで練習させたい。

○似たようなものの例示
・サクラやイチョウ など の木。「など」がつくとサクラとイチョウだけでなくその他,それに類する木のあることを意味している。
「サクラやイチョウ」と「サクラやイチョウなど」の違いをわからせたい。

○指示語
8(丸囲み)の文 それは
12(丸囲み)の文 これらの めは,
18(丸囲み)の文 そのため には,
22(丸囲み)の文 その うろこには,
30(丸囲み)の文 これらの 木の葉は,
36(丸囲み)の文 このように

これらの指示語は,なにをさしているのかをわからせることが大切であり,このことをもとに,文と文の連接関係に気づかせたい。

○サクラ,イチョウ,マツ,ツバキ,ビワ,トチノキ,ハクモクレン,コブシ,ムラサキシキブ
前者は,子どもにとって見なれた木であるが,後者はなじみの少ない木である。このような場合は,実物やあるいは写真,絵,スライドを見せてやりたい。

○受身の表現
つつまれる……つつむ
おおわれる……おおう

3,おわりに

本主題にそって,「木の冬ごし」の教材研究を中心に述べてきたが,最後に,国語科は児童の言語能方を高めるための教科であることを確認して終わりにしたい。


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