福島県教育センター所報ふくしま No.37(S53/1978.8) -008/030page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

造や文法的説明など分析を中心として部分的に内容をとらえることが多かった。読みとる指導の過程として―文ずつ読みとることも必要ではあるが,新指導要領では全体としてまとめて読みとる,段落ごとに概要(あらすじ),要点をとらえることを強調している。

言語活動「書くこと(ウ)」においた指導

(ウ) 書かれていることの内容を読みとって,それについて書くこと。

「読むこと」の言語活動の上に立って「書かれている内容の概要を読みとって,それについて概要が伝わるように書くこと」が第2学年の目標である。この学年では,テキストの中心となる要素をえらび出す能方を養成し生徒をできるだけ自分のことばで言いかえる気構えにするために次の三つの部分に分けた指導を試みたい。

(1) あらすじをつかむ段階

たとえばレッスンを三つの部分に分けて家族に英語で話してあげる場合,最初は何のことを話し,次にまん中では何を,最後に何を話すかを考えるように訓練する。この段階の指導は,第1学年の後半からも可能であろう。

(2) 感想,意見などをつけ加える段階

読みとった内容について考えたことや,感じたことなどをつけ加えて書くことを指導する。

-----具体例(2年)-----

Lesson14   Canada

(1)
Miss Lmeay is French teacher. Hre class is very interesting. Reccords and tapes areoften used in class. Her students like to listen to them.
Akiko likes Miss Lemay very much. She is liked by every student. She is from Canada.In Canada both English and French are sporken.She can speak both of them very well.

(2)
Miss Lemay : Have you ever been to Canada,Akiko?
Akio : No, I never have. But my father will take me there next month.
Miss Lemay : How nice! Ihope you'll have a good time.
Akio : I hope so too. Is French spoken in Canada?
Miss Lemay : Yes, it is. French is spoken by many people. But English is also usedby many.
Akio : What part of Canada are you from?
Miss Lemay : I'm from Montreal. Most people speak French there.

具体例(2年)Lesson 14 Canada

-----黙読後に内容の概要が伝わるように書く段階-----

 この段階の指導の前には,当然,新出語をふくむ読みの障害になると思われる語,語句の指導がなされ,内容概要を読みとる段階に入るわけである。その作業に入る前に次のような様式を板書またほプリントして指導することを提案したい。

    ルメー先生   ア キ オ   カ ナ ダ 
(1)                        
(2)                        
(3)                        

上記の表にそれぞれ関係のある英文を書き込ませてから,読みとった内容の概要を次のようにまとめさせ,さらに,I'd like to go to Canada. など自分の気持もつけ加えて表現させる。この活動は,言語活動「聞くこと・話すこと(イ)」のそれぞれの学年目標とも関連して指導することがたいせつである。

・Miss Lemay is a French teacher.
She is from Canada.
・Akio's father will take him to Canada next week.
l'd like to go to Canada.
・Canada is bigger than the United States.
Japan buys lumber from Canada.

おわりに

これからの英語教育の目標は,コミュニケーションのために欠くことのできない「英語を聞いて必要な内容を聞きとる聴取カ」と「書かれていることの内容を読みとる読解カ」の基礎の上に英語で表現する方を身につけさせることである。この英語で表現するカとは,単に英会話表現をおぽえることではなく,聞きとったこと,書かれていることの内容を整理して少ない限られた語いを使って言い表す力である。この表現方を身につけさせるためには,1時間の大部分が基本文を中心とする構文の指導や,文型指導に費されている現状から脱却し,単調なくりかえしに終る文型練習だけでなく,知的満足感,充実感をもたせるような英文の内容理解(recognition)にもとづく言語活動に重点をおいた指導が望まれる。

 参考文献

・中学校指導書 外国語編(文部省)
・New Prince English Cour (開隆堂)
・New Horizon English Course (東京書籍)
・所 報 No.32(福島県教育センター)


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育センターに帰属します。