福島県教育センター所報ふくしま No.37(S53/1978.8) -009/030page

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高等学校教育資料

都道府県別大学進学力に関する一考察

身近かな情報を整理して

科学技術教育部  土田 直枝

1. はじめに

わが国の高校教育を考えるとき大学入試を抜きにして考えることはできない。
そして大学入試は教育論議の中で表向きはいつも悪役扱いをうけながら実質はいかにしてこの勝負に勝てるかにあらゆる努力が注がれている。

私は大学入試について,県別大学進学カと仮称した数字をもとに,各県の大学進学の推進方を比較し,この推進カの根源を探る試みをした。

多くの希望者の中から大学に進学できるのは本人の学力によることは言うまでもないが,ただ,その学方を築きあげた要素は,本人の素質,本人に意欲づけをしたもろもろの環境,本人の学習に直接影響を与えた学習や教育環境などがあろう。

今回は,大学進学カが上の2つの環境とどういう関連があるかを探ろうとした。

ただ,主題にも書いたように,私の手許にある資料に頼っての考察なので問題提起の域をでない程度に終ることを予めご理解いただきたい。

2. 都道府県別大学進学力 (以下進学力と略す)

県単位で大学進学の力を表わすには,単に大学合格者数を比較してもよいがこれでは東京都のように全国の10分の1の人口をもつ県と,逆に鳥取,高知のような人口の少ない県とでは比較にならない。

ここでは,各県の高校生の数が東京都並みであったら,これだけの合格者になるであろうという数を進学カと仮称した。

進学力

なお,本調査における各県ごと合格者数はサンデー毎日の4月30日号,「78大学合格者全国1,200高校調査」の数字を引用したものであり大学によっては下位合格高校が省略されていたり,高校によっては数のつかめない大学もあった。

また,東京・神奈川・愛知・京都・大阪,兵庫の6都府県については,9大学までの合格者数は載せられたが,全国公立大学については誤差が多くなるので省略することとした。

3.進学力の分布

進学カの値は県によって高低差は著しいが,つぎに示した図1は東大と京大の合格者数による進学力であるが,最も高い数値の2県は東京と京都である。

図1.進学力分布
図1.進学力分布

つぎに図2は東大・京大・北大,東北大・名大・大阪大・九大・東工大・―橋大の9大学の合格者数による進学力である。

図2.進学力分布
図2. 進学力分布


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