福島県教育センター所報ふくしま No.37(S53/1978.8) -010/030page
ここで最も高い数値の7県は北海道・宮城・富山・愛知・兵庫・香川・福岡である。
つぎに図3は国公立大の合格者数による進学力であるが,東京など6府県は資料に記載もれがあると見られるので除いた。
高い数値の3県は富山・大分・愛媛である。 この調査でわかったことを要約するとつぎのようである。
(1) 各県の進学力には大きな開きがある。
(2) 大学に顕著なのは,地元の県の進学カが大きいことである。
(3) 国公立大では富山・愛媛・香川・大分など9大学所在県以外の県が9大学所在県に食いこむ強さを見せている。
以上の(2),(3)を進学カの高い順に順位をつけて,その変容を見たのがつぎの表1である。表1 進学力の順位の変容
県 名 2大学 9大学 国公立 備 考 A県 5位 8位 ー 巨 大 県 B〃 27〃 1〃 4位 9大学所在 C〃 8〃 3〃 1〃 強力地方県 D〃 13〃 20〃 17〃 中国地方県 E〃 39〃 31〃 33〃 東北地方県 D,Eの両県は当該地方の中位の県の例をあげたものであるが,C,D,Eを比較してみると同じような地方県でも大きな開きがあることがわかる。
4.各県の進学力と背景について
先にも述べたが,この程度の調査で背景を探りだすことは無謀とも言えることであり,この項は問題提起と受けとめておいていただき,将来本格的なメスを加える場合の糸口にでもなれば幸いと思う。
進学カが示す数字の―つ―つは,もちろん各大学を目指し頑張った生徒のかち得たものではあるが,小学校入学以来12年間学んできた事では各県とも同じはずである。しかも指導する教員の資格,学級偏成,教職員定数,教科書等々各県によって著しい差をきたすものは見当らないし,それらの差異を探ることは不可能に近いものである。
ここでは,生徒の方に目を向けて考えてみたい。
生徒達を大学合格まで追いこんでいった背景の―つは,生徒達をとりまく周辺の進学熱であろう。その進学熱の大きき,強きを示すものには大学進学希望率,高校進学希望率などがあるが,大学合格をかちとるための進学熱を測定するには,この生徒達を勉学に追いこみ始めた小学校入学当時のその県の高校出願率に現れているものとみて図4に示したような昭和41年度における当該県の高校進学出願率と昭和53年の9大学進学カの相関をみた。
この結果は相関係数0,481とかなり高い値をみせている。
生徒達が小学校に入学した頃,彼等をとりまく社会では,高校進学に大きな熱意をもち,子供達を勉強へ勉強へと追いこんていったものと思う。
その熱意というか,ふん囲気が子供達に強く浸透していく程,やがて12年後の大学進学カとなっていったと考えられないだろうか。
進学方を決定づける要素には熱気のほかに環境づくりのよしあしが考えられる。
進学力に関係があると見られる環境には学校におけるもの,社会的なもの,家庭的なものがあるが,学校と家